委 員 宮 川 潤 委 員 伊 藤 理智子
委 員 小 形 香 織 委 員 石 川 佐和子
欠 委 員 堀 川 素 人 委 員 木 村 彰 男
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開 議 午後1時
○伊藤牧子 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、五十嵐委員、堀川委員からは欠席する旨、細川委員からは川田委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。
それでは、議事に入ります。
初めに、第2款 総務費 第1項
総務管理費中
市長政策室関係分の質疑を行います。
◆宮川潤 委員
指定管理者の関係で質問いたします。
1年前の
決算特別委員会でも、
指定管理者において非正規雇用が大きな比重を占めているという問題を取り上げて質問いたしました。非
正規労働者がふえることは、低賃金・
不安定労働者がふえることであり、特に、若い世代の人たちにとっては食べていくだけでも精いっぱいであるとか、それもままならない状況にさせているということでありまして、豊かな生活を楽しむことができない。
不安定雇用という点では、数年後の自分がどうやって暮らしているのか想像もできない、将来の人生設計を描けない、結婚もできないということになっています。雇用の不安定化によって、国内の消費購買力が低下し、物が売れない、少子化に歯どめがかからないなど、国の将来を左右する重大な問題となっております。
私は、
指定管理者が非正規雇用の温床になっているとの問題意識を持っていますが、まず、
指定管理者における
不安定雇用と低賃金の現状についてどのような問題意識をお持ちなのか、認識を伺います。
◎岸
改革推進部長 指定管理者制度といわゆる非正規雇用の問題についてでございます。
指定管理者制度につきましては、
市民サービスの向上と経費の節減を目的にいたしまして、
一定期間ごとに指定更新を行うことにしてございますので、
指定管理者が職員を雇用する際に、その業務内容によっては期間を定めた採用ということで、非
正規雇用者など、そういう雇用問題ということは制度設計に内在する課題であるというような認識でございます。
このような制度設計への対応と実際に雇用されている方々の労働条件の確保というバランスをいかに保つかということについては、非常に難しい課題であると考えておりまして、本市におきましては、制度運用の中でできる限り対応することといたしまして、平成21年に策定いたしました
運用ガイドラインの中で、雇用問題への配慮を制度運用の基本方針の一つに位置づけまして取り組みをしているところでございます。
◆宮川潤 委員 制度設計に内在するということは、私は、この制度自体の問題点としては理解しますけれども、できることならば、非正規雇用がふえているという
問題そのものについて問題意識がきちっとあるかどうか、
不安定雇用によって問題点があると考えているのかどうなのか、低賃金についてどういう認識を持っているのかという点に踏み込んで、ぜひその認識を伺いたいと思います。
◎岸
改革推進部長 非正規雇用あるいは低賃金の問題というのは、現行、社会一般的な課題として取り上げられているというふうに思います。その中で、
指定管理者制度の中だけの問題ということではないと思いますけれども、やはり、社会的な問題としては大変重要な問題ではないかというふうに考えております。
◆宮川潤 委員 私は、
指定管理者だけの問題とは考えていません。非正規雇用全体の問題について、
雇用推進部ではないですが、しかし、今のような非正規雇用がふえ続けるということについて市役所全体が問題意識をしっかり持っていただきたいと思っていますけれども、どうもその点がはっきりしないなというのが今の答弁を聞いた率直な印象ですね。このままでいいのかという危機感、今の社会に対する危機感、あるいは、地域経済に対する危機感が余り感じられないという点では、その点はぜひ認識を新たにしていただきたいというふうに思います。
1年前、私が、
指定管理者制度のもとで、限界があるにしても、その中での雇用改善に向けた取り組みという点をただしました。以下のような答弁がありました。まず、
指定管理者を募集する時点で、雇用の継続や雇用環境の維持・向上等の取り組みについて提案を求め、
選定委員会における評価、選定の際の加点要素、点数を加える要素にするという答弁がありました。また、今もお話がありましたけれども、
指定管理者制度の
運用ガイドラインを策定した、その中に雇用問題への配慮を加えた、こういう答弁が1年前にありました。さらに、これらの取り組みの効果を検証していくということでありました。
効果を発揮したのか、検証結果を伺います。
◎岸
改革推進部長 指定管理者の平成22年度の一斉更新に当たりまして、制度運用の見直しの中で雇用問題への配慮に対する具体策といたしまして、雇用継続の提案を更新の選定の評価項目とするという取り組みを導入したところでございます。このことによりまして、実際に雇用継続された職員が実数として何人いるかということについては把握してございませんけれども、一斉更新の際に
指定管理者が変更となった施設におきましては、応募時に継続雇用の提案を行った団体が選定されて
指定管理者となったというケースが8施設ございましたことから、この取り組みについては一定の効果があったのではないか、このように認識しているところでございます。
今後、次回の一斉更新に向けまして、また、
現行制度運用の課題の整理や検討の中で具体的に把握できる部分については把握していきたいというふうに考えております。
◆宮川潤 委員 一定の効果があったという答弁でありますけれども、私どもは、昨年の第3回定例会も、ことしの第3回定例会も、今回ですが、文書質問をさせていただきまして、その中で
指定管理者の雇用問題についても質問しております。その答弁書を昨年度とことしのもので見比べました。
本市指定管理者における2009年度の職員は3,169人、2010年度は3,283人にふえました。正規職員は、2009年度が1,144人、36%、2010年度は1,118人、34%と、正規職員については26人、2ポイント減少しております。一方、非正規はといいますと、2009年度は2,025人、64%、2010年度は2,165人、66%と、非正規雇用は140人、2ポイント増加しています。
一定の効果があったという答弁でありますけれども、全体像を見れば、残念ながら、昨年度の取り組みに効果があったとは言えないと思います。
本市指定管理者において非正規化が進んだという結果であり、私は、重大な問題だと考えていますけれども、どのように評価されているのか、伺います。
今後についてですけれども、まず、
指定管理者選定の際の加点、点数を加えること、ふやすことをさらにやってきたということですが、大幅にふやすこと、さらに、
指定管理業務の更新に当たっては、従前の事業者が継続できない場合、
新規事業者に従業員の雇用を引き継がせるということについては、これまでも働きかけてきたということでありますけれども、さらに目に見える効果があるよう、取り組みの強化が求められると思いますが、どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎岸
改革推進部長 平成21年度と22年度の文書質問に対する回答の正規職員、非正規職員の数については、今、委員からお話があったとおりでございます。全体数がふえているのに比べて、正規職員が数を若干落としているというのは事実でございます。
この数字についてどのように評価をするかというのはなかなか難しいかなと思いますけれども、21年度の施設と22年度の施設は、廃止の施設や新規の施設がございますので、必ずしも全く同一ではないということも含めまして、これをストレートに比較できるかどうかということも一つあろうかと思います。また、全体の傾向値といたしまして、正規職員が大体3分の1、非正規職員が大体3分の2という数値に大きな変更はないというふうに考えてございます。正規の方がふえなかったということについて言えば、私どものやった取り組みがここに大きな効果を出したとはなかなか言いづらいのはそのとおりであろうかと思います。ただ、全体の傾向として大きな変化がなかったということについて言えば、我々の取り組みにおいても、非正規職員への移行ということに対する一定の歯どめの効果はあったのではないかというふうに考えているところでございます。
それから、今後の
指定管理者の選考に当たって、雇用問題についての加点を大幅にふやすべきではないかというような今後の取り組みについてでございます。
雇用問題への配慮の取り組みにつきましては、原則といたしまして、募集時に、
職員採用計画の一環として雇用の継続であるとか、雇用環境の維持・向上の取り組みについての提案を求めて、それを
選定委員会による評価、選定の際の加点要素とすることについては継続して取り組んでまいりたいというふうに思っております。
これらの制度の運用状況の検証を行いまして、次期の
指定管理者の一斉更新に合わせて課題等の整理を行い、見直しを行っていきたいというふうに考えております。その際に、必要があれば、今、委員がおっしゃられたような事柄につきましても、当然、検討ということは考えてまいりたいというふうに思います。
◆宮川潤 委員 数字上、はっきりしているのですよ。よその都市の
指定管理者の話をしているのではないのです。本市の
指定管理者において、非正規の占める割合がふえて、正規が減っているのですよ、数字上、明らかに。その数字を、部長は、今、大きな変化はないと評価したのですが、大きな変化ではないのですか。小さいとお考えですか。
正規雇用をふやすような工夫は、これまでも幾つかしてきましたね。
運用ガイドラインの中に書き込むとか、そういうことをしながら、奏功していない、効果をあらわしていないということについて、私はもっと厳しい自己点検が必要ではないかと思うのです。そういうことをやっていきながら、選定の際に加点しておきながら、しかし、それでも非正規化が進んだことについて、私は、もっと重大に受けとめるべきだと思うのですよ。大きな変化がないではなくて、正規をふやそうとしてきたけれども、そうはならなかったことについて厳しい自己点検がなければ、私は、今後、改善しないと思いますよ。
こういう答弁がありましたね。
指定管理者において、非正規移行への歯どめになったと。どれぐらい歯どめになったのか。歯どめになった根拠は何か数字があるのですか。
具体的根拠があるのですか。私は、自己評価が甘いのだと思うのです。社会全体でこの程度非正規が進んできた、あるいは、他都市の
指定管理者において1年前と比べてこれだけ非正規がふえてきた、それに比べて札幌市は抑えたなという根拠が具体的にあるのであれば、それをもって歯どめになったということは言い得ることでしょう。そういう根拠があって今の発言になったのですか。
◎岸
改革推進部長 私の発言の根拠は、文書質問の数値をもって、構成的に大きな変化がなかったということをとらまえて言ったものでございます。
◆宮川潤 委員 それで、非正規が進んでいるので、私は、取り組んできたことが効果をあらわさなかったことを重大に受けとめてもらいたいと言ったのですけれども、受けとめてはいただけないのですか。非正規移行への歯どめになったという
具体的根拠はないままですけれども、どうですか、あるのですか。
◎岸
改革推進部長 歯どめになった根拠というものを数字で示せとおっしゃるご質問であれば、それをこのような数字でということは難しいというふうに思います。
◆宮川潤 委員 ですから、私は、歯どめになったと言い得ることがきちんとあるのであれば、それに基づいた評価で歯どめになったとおっしゃるのであれば、それはそれで構わない。いいと思います。しかし、
具体的根拠もないのに歯どめになったと自己評価するのは、私はおかしいと思いますよ。もっと厳しく見るべきだ。非正規雇用が進んでいることに対して厳しく見ることが必要なのではないですか。
私が1年前に質問したときには、
サンプル調査がありまして、その結果を使いながら質問させていただきました。つまり、それは、
指定管理者における正規雇用の方は、具体的な平均賃金が幾らか、あるいは、何年間継続して雇用されてきたか、雇用期間です。正規雇用は賃金が幾らで雇用期間は何年間かという数字、アルバイトやパートの場合は平均賃金が幾らで雇用期間は何年間か、あるいは、期限の定まった契約社員、有期社員の場合はどうか、そういった
サンプル調査があったのです。では、このたびは新しい
サンプル調査があるかと聞いたところ、やっていないですね。やっていないのですよ。
それから、先ほども答弁がありましたけれども、
指定管理者が更新されて、従前の事業者から、契約が変わって
新規事業者に切りかわるときに、従業員については雇用が継続されるように働きかけをしてきたと。私は、それはいいと思うのです。本当に進めようと厳しく思っているのであれば、実際にどの程度進んだのかという実数を把握して、それは効果があるのかないのかという検証をすべきではないですか。
しかし、どの程度継続されたのか、実数は不明だと。私は、これでは進まないと思う。雇用が継続するように働きかけて、実際に従業員の雇用が継続されているのであれば、そういう取り組みをさらに広げていくことをやればいいし、そうではなくて、継続が思ったほど進まないのであれば、何が足りないのか、どうすれば進むのか、次の対策を考えるべきだと思うのに、継続された実数が不明だということであれば、私は、結局、
正規雇用化は進まないと思いますよ。
サンプル調査や雇用が継続されているかどうかという調査について、今度はぜひすべきだと思いますし、そういう立ち入った調査をして、その上で有効な策を考えていくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
◎岸
改革推進部長 継続雇用あるいは賃金等の状況についてでございますけれども、私どもとしては、制度の運用状況をきちんと把握していくことは極めて大事なことだと思っておりますので、次の一斉更新に向けて、課題がどの辺にあるのかということはきちんと考えていかなければいけないというふうに思っております。その中で、調査の必要性についても検討いたしまして、必要なものについては調査をしていきたいというふうに思います。
◆宮川潤 委員 必要なものを調査するという一般論で済ませるのではなくて、具体的に賃金や雇用期間について
サンプル調査をやる、継続についても実数をきちんと把握する、それをやらなければ、私は、前進はないと思いますよ。一般的に必要なものについて調査をするのではなくて、こういったものについて必ず調査をして、そして、1年後の議会では同じことを文書質問いたしますから、今度はぜひ前向きの数字が出るように、それに向けて取り組んでいく、そういう決意があるなら決意を表明してください。
◎岸
改革推進部長 私どもとしては、今申し上げたとおり、制度運用の中でできることはやっていきたいと考えておりますし、その中で必要なことについての実態の調査(「全然だめ」と呼ぶ者あり)ということはやっていきたいというふうに思っております。そのことがどういう効果を得られるのかということについても、取り組みにあわせて、随時、検証していきたいというふうに考えております。
◆宮川潤 委員 結果責任を負うような取り組みをやっていただきたい。
以上を申し上げて、終わります。
◆木村彰男 委員 私は、まず、市立大学のことについてご質問させていただきたいと思います。
南区に市立大学がありまして、現在、デザインの方と看護の方と二つに分かれておるのですけれども……。
○伊藤牧子 委員長 頭出しをお願いいたします。
質問は、何点かありますか。
◆木村彰男 委員 (続)あります。
○伊藤牧子 委員長 それは、何点か。
◆木村彰男 委員 (続)ごめんなさい。
私は、まず、市立大学の件について、高校生関係へのPR、それから、首都圏関係、道外へのPR等、そういうような問題、それから、こちらの方で見せていただきました
公立大学法人札幌市立大学平成22事業年度の業務実績に関する評価結果にかかわる報告の提出、この内容からご質問させていただきたいと思います。
最後まで、全部言いますか。
○伊藤牧子 委員長 項目をお願いします。大項目でよろしいので。
◆木村彰男 委員 (続)それから、札幌市
まちづくり戦略ビジョン、札幌の将来を考える市民会議の内容についてちょっとお聞きしたいと思います。
それから、広報関係の内容につきまして、現在、市民の声を聞く課がありますけれども、その広聴関係、これらのことについてお聞きしたいと思います。
よろしいですか。
○伊藤牧子 委員長 よろしいです。
◆木村彰男 委員 (続)まず、市立大学の件でございます。
パンフレット等もいただいておるのですけれども、市立大学につきましては、現在、少子化が非常に進んでおりまして、大学間の競争も非常に激化しているということで、優秀な人材をどのようにして集めてくるかという課題があるかなというふうに私は思っております。
まず、高校生へのPRであるとか、道外の学生の獲得に対するPRについてどのような策を練っていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
◎可児
政策企画部長 優秀な受験生をふやすための方策ということでございます。
まず、高校や高校生へのPRということで、募集要項や大学案内を受験生のいる全国の高校約4,400校に対してすべて送付させていただいているところでございますし、また、受験希望者を対象にした
オープンキャンパスも年2回実施しているところでございます。参加者もかなり多く、22年度においては1,300名弱が参加されたというふうに聞いているところでございます。さらに、高校生に市立大学の教育や研究を理解してもらうということで、出前講座や公開講座、あるいは模擬授業等を実施しているところでございます。
もう一つ、道外へのPRの関係でございますけれども、首都圏にはデザイン系や看護系もかなりございますので、本市の特徴ということでもあるのですが、東北地方からの受験生が極めて多いということがございます。そういったことから、今年度の実績で申しますと、東北地方の高校25校に対して教員がみずから訪問いたしまして積極的なPRをさせていただいているところでございます。
◆木村彰男 委員 学生へのPRについては、大体そういうことかなと思います。
この間、課の方とお話ししておりましたら、留学生に対するそういう形での入学や募集等々についてはまだ十分ではないというようなご発言もあったのですけれども、それについてはいかがでございましょうか。
◎可児
政策企画部長 留学生への取り組みにつきましては、今後、生徒が減少するような少子高齢化の時代を迎えまして、そういった中にあって、生徒の確保という観点からも留学生の受け入れの取り組みは極めて重要な視点だというふうに私どもは考えているところでございます。そういったことから、海外向けに英語版の
ホームページの公開もしておりますし、留学生向けには
日本学生支援機構の
ホームページからも情報を発信させていただいているところでございます。
さらに、今現在、東アジアの四つの大学との
学術交流協定も締結済みでございまして、そういったところからの受け入れも順次行っているところでございます。実は、22年度の実績は1名の留学生しか受け入れることができなかったのですが、23年度に入りましては、韓国、中国を含めて現在5名の留学生を受け入れており、順調に拡大しているかなというふうに思っているところでございます。
◆木村彰男 委員 先ほど申しました評価結果の4ページに、今後の課題ということなんですけれども、札幌市の市立大学が求める学生が受験し、入学しているかどうかを継続的に検証し、入学者の選抜方法等も見直していかなければいけないのではないかというような評価もあります。これらのことについて、本当は大学がやっていくのでしょうけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせください。
◎可児
政策企画部長 入学の選抜方法、試験の方法ということでしょうか。
◆木村彰男 委員 選抜方法です。
◎可児
政策企画部長 選抜ですか。
◆木村彰男 委員 はい。
◎可児
政策企画部長 大学の試験については、例えば、面接を重視するとか、あるいは実技試験を重視するとか、一般教養を重視するとか、着眼点がいろいろありますけれども、現在、私
ども札幌市立大学は、どちらかというと、高度な技術を持っているというような着眼点よりも、割と広く一般的な教養を兼ね備えた人間を多くとった上で、大学の教育の中で専門的な知識を身につけさせる、そういうような観点で募集しているところでございます。そういったことから、技術的、専門的な、例えばデザインが非常にうまいとか、そういった人たちだけを集めているということではございませんので、そういった観点から幅広い学生を集めていきたい、そういうような観点で募集しているところでございます。
◆木村彰男 委員 札幌圏の大学との連携や産業界との連携ということについてもコメントがあります。まだまだ始まったばかりだと思いますが、産学協同と申しますか、そういう部門についてちょっと弱いのではないか、今後とも、ほかの大学や私立大学を横目で見ながら、そういう提携等もやっていかなければやはり勝ち残っていくことができないと私も考えておりますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
◎可児
政策企画部長 やはり、これから生き残っていく大学にとっては、産業界との連携が非常に大切なことだろうと考えてございます。そこで、市立大学では、地域貢献及び国内外のネットワークの形成ということで、平成19年4月に大学の附属研究所という形で地域連携研究センターというものを設置しております。このセンターは、産学連携の強化や国際交流の推進等を担っているわけでございますけれども、現状としては、残念ながら、小規模な大学ということもありまして、専任の教員や研究員が配置できない状況で、かつ、十分な活動ができていない、そういうような認識でおります。
そういったことから、今後は、大学としての情報発信及び営業力が極めて重要でございますので、この地域連携研究センターの機動力を向上させるということで、人材の配置や予算の配分の工夫を大学と一緒に取り組んでいきたい、そういうふうに考えているところでございます。
◆木村彰男 委員 最後に、歳出と歳入の関係です。
学生の学費を見せていただきまして、もちろん、横並びといいますか、ほかの学校の関係もあるので、勝手に値上げしたり、簡単に安くすることもできないと承っておりますが、その学生が納められた学費の残った分といいますか、それを、全部、札幌市からお金を出して充てんしていると。もちろん、後で国からも補助があるというふうに承っております。その中で、やはり、詰めていかなければならないものも当然あると思いますし、これを見ていますと、一般管理費という形で計上されているものが年々圧縮されて、そこで少し倹約しているのかなというふうにも思いますけれども、その辺のことについてちょっとお伺いします。
◎可児
政策企画部長 今、委員からお話がありましたように、札幌市立大学の平成22年度の決算ベースで見ますと、大学の歳入合計は20億2,900万円で、そのうち、札幌市からの運営費交付金の交付が15億2,000万円でございますので、いわゆる運営費交付金への依存度が70%を超えるような状況になっているわけでございます。ただ、この依存度につきましては、こういう理工系の大学というのでしょうか、単科大学でデザイン、看護系の他の公立大学と比較すると高いというのではなく、平均的な姿だろうとは認識しているところでございます。しかし、公金への依存度をできるだけ下げていくことは極めて重要なことで、大学法人としても当然のことである、そういうふうに考えているところでございまして、さまざまな対策を実施し、あるいは、札幌市からも要請していくことが必要と考えてございます。
そういった意味で、自己歳入の確保が非常に重要なわけでございまして、科学研究費の補助金といったものを獲得する努力を継続していただくとか、歳出の削減といたしましては、旅費、給与の計算や、情報システムの保守を外部委託するとか、経理事務に人材派遣を活用するとか、あるいは、契約に関しても、地方自治法の適用を受けない団体でございますので、複数年契約の積極的な活用などを行いながら継続的な経費の削減に努めているところでございます。
◆木村彰男 委員 現在、定員が約800名ということで、条件があってこれ以上はなかなかふやすことができないというふうに承っております。しかし、デザインの方の札幌市立大学は芸術の森にございまして、私も南区なので、ぜひ、定員もふえて、地域の方々と交流し、地域発展のためにぜひ大きな大学になっていただきたいと私は思っておりますので、そのような形で進めていただければと思います。
続きまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、戦略ビジョンの件でお尋ねさせていただきたいと思います。
私も、戦略ビジョンの市民会議に何回か出させていただいて、そのレジュメもいただいております。また、市民会議のほかに、審議会やワールドカフェという形で幅広く市民の方々に意見をお聞きするという立場で進んでいらっしゃると課長からも承っておりまして、そういうものとしてでき上がってきたのが、仮のものでございますけれども、この間のまちづくりの計画としてあらわれているかというふうに思います。
私がちょっと気になったのは、この間も申し上げたのですが、審議会の人事です。地域の方というよりは、どうしても学者の先生方が中心になっているかというふうにも思っておりまして、その辺の選択の基準はどのような形で考えていらっしゃるのか、お聞かせ願います。
◎可児
政策企画部長 まちづくり戦略ビジョンの審議会の委員の構成等についてのお話でございます。
まず、基本的な考え方といたしまして、具体的な委員の選任に当たりましては、現行動いています第4次長期総合計画における審議会委員の専門分野も参考にしながら、昨今の社会経済情勢の変化なども踏まえまして、福祉や経済、環境、都市計画といった専門分野において高い識見を有する学識経験者、あるいは、豊富な知識と経験を有する方、そういった方の中から、これまで札幌市の附属機関等で委員をお願いしていた方を中心に選任させていただいているということでございます。
そのほか、今、豊富な知識と経験を有するというお話をさせていただきましたが、そういった観点から、民間企業やNPOの実務家といった方も選任させていただいておりますし、また、今回は地域におけるまちづくりの視点ということも重要視してございまして、実際に町内会での役員活動を積極的に行っている方、要するに、地元のまちづくりに極めて精通されている方に委員になっていただいているところでございます。
ただ、今回の審議会の構成メンバーにつきましては、4次長総策定時には定数が45名と物すごく大きな体制でやってきましたが、今回は2年間でスピード感を持ってつくっていくといったことから、委員定数も25名以内にしているところでございます。そういったコンパクトな体制にしておりますから、それぞれの専門分野ごとの委員の数も自然と少なくなってくる、そういった現状はあろうかというふうに考えているところでございます。
◆木村彰男 委員 私はその委員の中のお一方と知り合いだったものですから、中のご議論もお聞きしていたのですけれども、地域のお話になりますと、どうしても大学の先生の中には自分自身がどこの町内会に属しているかもわからぬというような方もいらっしゃるようでございまして、まちづくりの観点としてのお話を学問的にまとめることと地域をリードする者とは違うと思うのです。この委員の構成等を見まして、今回のまちづくりの観点から言うと、私は、やはり、町内会であるとか、地元で一般の市民の方々と接触して地域の声や合意形成にかかわっているような方が非常に少ないなという印象なのですよ。もうやってしまっているのでどうにもならないのですけれども、その辺についてはどのような総括をされていらっしゃるのでしょうか。
◎可児
政策企画部長 今回の審議会におきましては、どちらかというと、専門的な見地からいろいろと検討していただくことを念頭に置いてございますが、委員から冒頭でお話がありましたように、市民の皆さんのいろいろな意見をさまざまな角度から聞いていくということが今回の計画策定の基本的なスタンスでございまして、市民会議、あるいは地域に出向いていっていろいろな意見を聞くことも今後はしっかりとやっていきたいと思ってございますので、その辺は偏りのないようにしっかり対応していきたいというふうに思っているところでございます。
◆木村彰男 委員 審議会の方はそういう先生方もいらっしゃいますが、同時に、市民会議の方はほとんどが公募市民ということで、年代や地区割についてもばらつきを持って構成されておりますので、こちらも一つの方向性だと私も思っております。今、まとめている最中だと思いますけれども、双方をミックスさせた形でよりよいまちづくりのためのご提案をまとめていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、先ほど申しましたが、市民の声といいますか、広聴関係のことでちょっとお伺いしたいのです。
今回、初めて市民の声というものを見せていただいて、お仕事として大変なお仕事といいますか、立派なお仕事をやっていらっしゃるのだなと思いました。
実は、市民の声を聞く課では、市政に対するご質問のほかに、市政外といいますか、例えば、法律相談であるとか、一般の交通事故相談とか、そういうような相談も受けていらっしゃるかと思いますが、これらの相談業務に係る費用というのは、私が見ている限りにおいてはかなりの高額に及んでおります。今、弁護士会であるとか、司法書士会、行政書士会であるとか、ほとんど無料で定期的に相談をやっておりまして、札幌のような大きなまち以外の小さなまちで、弁護士もいない、司法書士もいないようなところであれば、確かにそういうことが市役所のマターとして必要だと私も考えるのですけれども、札幌のような大きな都市になりますと、毎週のようにどこかでそういう相談をやっておったりします。ですから、一つの考え方として、全部なくせということは申し上げませんけれども、札幌市役所がお金をかけてやらなければならない業務としては、考えていく時期に来ているのではないかなというふうに思ったものですから、その辺についてはいかがでございましょうか。
◎林 広報部長 市政外の相談業務ということでございますけれども、私どもも、これは市民ニーズ、コストの両面からいろいろと見直しも進めてきてございます。具体的に申し上げますと、今年度からですが、法律相談の報酬単価を20%程度減額させていただいたり、従前は司法書士相談の謝礼を払ってございましたけれども、これを無償でボランティア的にやっていただくような見直しを行ってきているところでございます。
今、委員からご指摘がございましたように、私どもも、今後とも、市民ニーズであるとか、あるいは、他の都市でどういうふうにやっているか、それから、関係諸機関での相談の窓口の状況などを踏まえまして、もちろん市民の利便性にも配慮しながら、相談体制のあり方について検証してまいりたいというふうに考えてございます。
◆木村彰男 委員 ぜひ、そういう面で見直して、少しでも削減できるものであれば、財政的にも大変厳しいというふうに私も考えておりますので、ご検討を願いたいと思います。
それから、市民の声を聞く課の広聴のシステムを見ておりますと、これはオンブズマン制度とはちょっと違うものですから、一たん聞いた市民の声を部局に投げて、部局の方から対応していただくという形で、そこで何か対応があったときにはフィードバックしてくる、そういうふうに承っております。ただ、それだけでは解決したかどうかもなかなかわかりませんし、効果があったかということについて広聴の方で確認することはできないというお話でした。
そういう中で、私は、アンケート調査などをされて、そうしたニーズに対する市民の方の満足度というか、そういうことがアンケート調査の中でもしデータとして出ているのであれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
◎林 広報部長 本庁の市民の声を聞く課や各区の広聴係には、市民の皆様から本当にたくさんの声が寄せられております。当然、それを行政運営に生かしていくことが必要でございますので、まずは、どういった市民の皆様の声が寄せられたのか、それに対してどういうような回答をしたのか、札幌市の各関係箇所が情報を共有することが必要だというふうに考えてございます。そこで、庁内システムではございますけれども、声の集約システムというものをつくっておりまして、その中で庁内で幅広く情報の共有を図り、それぞれの部局の活動に市民の声が生かされるような土台はつくっております。
それから、実際にその声をどういうふうに反映した取り組みが行われたのか、そういったデータがあるのかということですが、平成22年度の件数で申し上げますと、実際に市民の皆様の声を踏まえて行政運営に生かすこととした事例は1,046件ほどございます。
◆木村彰男 委員 ぜひ、市民の声を聞きっ放しということではなく、今、部長がおっしゃったような形で――予算の関係もございますので、できないものはできないと言わざるを得ません。ただ、率直に市民のお声を聞いて――私も営業をやっていたので、やっぱり、顧客満足度というか、買ったものに対する満足度がなければ、我々としても責任を果たしたことにならないと思うのです。ですから、市民の方々のニーズにこたえられるような体制やシステムはぜひ確立していただければというふうに思います。
最後に、記者クラブのことについてお尋ねします。
現在、記者クラブは広報で担当して管轄されているというふうに伺っておりまして、例えば、定例記者会見については、この間のものを見ていますと、記者クラブのご許可があったようですけれども、クラブ加盟社以外の方ですか、見ていると、IWJと書いてございまして、これはインターネット関係のものですが、この辺の経緯をもしご存じでしたら教えていただけますでしょうか。
◎林 広報部長 ご案内のとおり、市長記者会見につきましては、市政記者クラブが主催しておりますので、基本的に、どういったメンバーに記者会見に参加していただくのかというのは記者クラブの判断となります。
経過をちょっと申し上げますと、記者クラブでは、昨年6月に、フリーのジャーナリストからの申し出、あるいは、昨今、国の記者会見のオープン化というような流れもございまして、それを踏まえまして、一定の条件のもとにクラブ加盟社以外でも記者会見に参加し、質問ができるようになった、そういう取り扱いの変更がございました。
◆木村彰男 委員 国の方もそうでありますので、記者クラブだけではなくて、幅広く市民の方々のニーズにこたえられるように、取材の協力とか、そういうことについてはぜひお願いしたいと思います。
これをもちまして、私の質問にかえさせていただきます。
◆阿部ひであき 委員 私からは、札幌市の
まちづくり戦略ビジョンの中で、1000人ワールドカフェに特化して、後ろがつかえておりますので、なるべく端的に2点ほど質問させていただきます。
平成23年6月に、今後10年間のまちづくりの指針として
まちづくり戦略ビジョンの策定がスタートしまして、ちょうど4カ月が経過したところであります。その中で、今回の1000人ワールドカフェやそうしたところの検証というのは、今後の策定の手法にとっても大変重要な意味を持つのではないのかなというふうに思っております。
そこで、1点目ですけれども、今回、取り組みの一つとして、初めて1000人ワールドカフェの取り組みを行ったところであります。この取り組みにおける最終的な市民の集まりぐあい、あるいは集め方等、本来の1000人ワールドカフェの運営の趣旨にどの程度沿ったものであったのか、お聞かせいただきたいと思います。
同時に、2点目もお聞きします。
1000人ワールドカフェにおける意見の集約ということですが、1,000人といいましたら相当な人数で、今回どれだけ集まったかは後ほど答えがあると思いますけれども、それに対する取りまとめの手法として、行政としてこれをどういうふうに扱っていくのか、この2点について端的にお答えいただきたいと思います。
◎可児
政策企画部長 1000人ワールドカフェについてお答えいたします。
ワールドカフェは、7月18日に開催されまして、440名の方にご参加いただきました。目標の1,000人には届きませんでしたけれども、より多くの市民の皆様と一緒に札幌の未来について考える第一歩として企画したものでございまして、カフェで気軽に話すように、札幌の魅力や未来について自由に語り合うことができたと考えているところでございます。
開催に当たっての参加者募集の告知の方法でございますけれども、市役所、区役所、そのほか市有施設等でのポスターの掲示やチラシの配布、あるいは、広報さっぽろでのお知らせや地下鉄の中づりや新聞での広告もしたところでございますし、インターネット上でもいろいろ告知をさせていただいたところでございます。これらにあわせて、札幌駅前通地下歩行空間などにおいても、プレイベントという形で、小規模ながらワールドカフェ体験というものを2回開催させていただいたところでございます。
新聞報道等にもございましたが、当日は小学生から70歳以上の方まで幅広い世代の方々にご参加いただいたところでございますけれども、特に、30歳以下の方々が過半数を超えるような状況でございました。これまでのまちづくりに関するイベントへの参加者の割合を見ると、どうしても若い世代の方々は比較的少ない傾向がございますけれども、今回は、このような新しい手法を用いた自由な雰囲気で語り合えるイベントということもございまして、若い世代の方々に多く参加していただいたのではないか、これは大きな成果だというふうに考えているところでございます。また、当日実施したアンケートにつきましても、感想を5段階評価で聞いておりますが、「よかった」「大変よかった」とお答えいただいた方が実に9割を超え、92%に上ることから、参加者の満足度も非常に高かったのではないかというふうに考えているところでございます。以上の点から、今回のワールドカフェは、特に、ふだん、行政に関心の薄い方々も含めて、多数の皆さんに札幌の未来について考えていただくきっかけづくりができたのではないかというふうに考えているところでございます。
次に、意見の取りまとめ手法や、それをどうやって反映していくかということでございます。
今回のワールドカフェでは、札幌に住んでみて、あるいは、来てみてよかったと思うことは何ですかという問いかけから始まりまして、最後に、私たちが望むこれからの札幌はどんなまちか、そういう四つの問いに対して参加者に自由に語り合っていただいたものでございます。参加者の方々から自由に語っていただいたこともあって、さまざまなご意見が出たところでございますが、最後の私たちが望むこれからの札幌ということが、ある意味で我々の期待している意見ということになりますけれども、そういった意味で、そのご意見を分類、整理すると、福祉、経済、自然といった九つのカテゴリーに分けることができて、一定の方向性を示すことができたのではないか、そういうふうに考えています。
これを審議会に報告するなど、
まちづくり戦略ビジョンの策定の検討材料として活用していきたいというふうに考えておりますが、特に、審議会では、札幌市の目指すべき都市像や基本目標について審議いただく予定になっておりますので、その際、今回は市民自身が望む札幌の将来像ということでいろいろと意見を出してもらいました今回の結果を参考にしていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
◆阿部ひであき 委員 私は、先ほどお話にもありましたとおり、1000人ワールドカフェの取り組みは、市民にたくさん来ていただいて市政について興味を持っていただく機会になったのではないのか、これについてはよい面ではないかというふうに感じております。ただ、集める手法をちょっと誤ったりすると、集まる人も限定化してきます。さらに、意見も偏った方向に進むことも考えられますので、今後の取り組みの手法としては、今回の運営での課題や反省点をしっかりと検証すべきだというふうに思います。
今回の参加者の属性ということで私もちょっと調べさせていただきましたけれども、年齢別では10代、20代の方が全体の52.7%であり、60歳以上でいくと12.1%と少数でした。また、性別で見ても、全体の61.6%が男性であります。そうした参加者の属性についても、広い世代の人たちの意見が反映されているのかどうかとか、性別的なものはどうなのかというところも含めて検証すべきではないのかとも思います。
それから、さっぽろ1000人ワールドカフェの中で話し合われた内容についてですけれども、今、九つのカテゴリーという話がありまして、その九つのカテゴリーを私の方で拾っていろいろと見ているのですが、例えば、福祉に関するところであれば子育てしやすいまちとか、暮らしに関することであればだれもが暮らせるまちとか、何というか、漠然とした言葉がただ並んでいるだけで終わってしまっているのが非常に残念であるなというふうに思うのです。そうした言葉であれば、行政の側でも十分考えられないかなとちょっと感じるのです。せっかく1,000人と言って取り組んでいく内容であれば、内容的なものをもうちょっと深く突っ込んだ形で、今後の札幌市のことをもうちょっと市民に考えていただけるような取り組みの手法はなかったかなと考えるところであります。それについて言えば、ちょっと厳しい言い方かもしれませんけれども、1000人ワールドカフェという名前のもとで、そうした当たり前の言葉を羅列することだけにとらわれた、要は、パフォーマンスととらえられてもおかしくないなと。せっかくたくさんの人に興味を持ってもらったにもかかわらず、そういったところでは反省点もあるのではないかなというふうに思います。
そうしたところでは、1000人ワールドカフェという名称のあり方も含めて、今後の取り組みのあり方をしっかりと検証していただくことを要望して、私の質疑を終わります。
◆村上ゆうこ 委員 私は、行財政改革推進プラン案に対します市民理解の形成についてご質問いたします。
これから4年間、行財政改革の指針となります行財政改革推進プラン案が今月3日に公表され、5日には大都市行財政制度調査特別委員会でも議論されたところですが、そのときの議論なども踏まえて質問いたします。
今回のプランでは、2012年度から2014年度に見込まれます337億円の財源不足の対応に加えて、同時に公表された第3次札幌新まちづくり計画に盛り込まれた施策を推進するために必要となる新たな財源の確保についても目標としており、全体では520億円の財政効果額を見込んでおります。これまでの8年間、行財政改革と同じように、まずはコストの縮減や収納率の向上、内部努力、資産の有効活用などを優先して取り組むこととしていますが、このたび、市民の皆様に影響のある項目についても53億円と全体の効果額の約1割を見込んでおります。市民の皆様への影響をなるべく抑えたいという思いはうかがえるのですけれども、一方で、この項目は、負担をしていただかなければならない市民の皆様がおられるということを常に念頭に置いていただき、忘れてもらっては困ります。取り組みを進めていく際には、市民との間で十分に情報共有がなされること、また、幅広い市民の方に議論の必要性が理解されていることが大前提になりますが、項目と効果額のみが掲げられ、既に具体的な見直し内容が決まっているかのように見えます。その一方で、見直しを行う理由や背景については説明が十分とは言えません。
そこで、質問です。
今回のプランにおきまして、市民の皆様に影響のある項目に取り組むのはなぜなのか、基本的な考え方をお伺いします。
また、そもそもこのプランに掲げられた取り組みは一体どのような位置づけのものなのか、確認の意味も含めて、あわせてお伺いいたします。
◎岸
改革推進部長 行財政改革推進プランの案についてのお尋ねでございます。
まず、プランの案において市民の皆さんに影響のある項目について取り組むこととした基本的な考え方ということでございます。
札幌市では、これまで、財政構造改革プランや行財政改革プランに取り組む中で、持続可能な財政構造を確立するという基本方針のもと、内部努力やコストの縮減を徹底的に進めてまいりました。この結果、時代に合わなくなった事業等は大きく見直す一方で、人口1人当たりの職員数では他の政令市との比較の中で最も少ない人員となるなど、スリムな市役所を実現してまいりました。
しかしながら、近年の景気の低迷や超高齢社会、人口減少社会の到来等を背景といたしました市税等の歳入の伸び悩み、社会保障給付費の増加などにより、財政状況の悪化など予断を許さない状況となっております。このような中で、今後の社会構造の変化を見据え、市民に必要なサービスを安定的に供給しつつ、持続可能な財政構造を確立していくために、今回のプラン案におきましては、資産の有効活用であるとか、歳入増の取り組みを強化していくなど、市民の皆さんへの影響はできる限り抑えながらも、負担の公平性や事業を取り巻く環境の変化等を踏まえまして、一定のサービス水準であるとか受益者負担の見直しについて取り組むことにしたものでございます。
次に、2点目の掲げた取り組みはどのような位置づけなのかということでございますが、各取り組みの項目につきましては、例えば、見直しの時期や負担の程度については一定の仮定を前提として盛り込んでいるものでございまして、今確定をしているということではなくて、具体的には今後議論をされていくものであります。したがいまして、あり方の検討というような表現を使っている部分もございますけれども、仮定条件の設定が困難なものにつきましては事柄のみを掲載しておりますし、効果額を見込んでいるものにつきましても、今後の市民議論や検討作業を通じて具体化をしていくことになるものでございます。
◆村上ゆうこ 委員 市民の皆さんに影響のある項目ということで、今後の財政状況を見据えた持続可能な財政運営に向けた取り組みの一つでもありまして、また、各取り組みの項目は一定の条件や仮定を前提として盛り込んでいるとのご発言もありました。具体的には、今後議論されていくものとして受けとめました。個々の項目の見直しに当たっては、その必要性や考え方などについて、それぞれ所管する局を中心として必要な議論を進めていくこととあわせまして、プラン全体としても、これらの項目を盛り込んだ必要性や考え方についてもっとわかりやすく説明していくことが必要だと思います。
この場におきましては個別の議論はいたしませんけれども、一例として、先日の調査特別委員会の場において、保育料の見直しなどについて新まちづくり計画との整合性などが論点となっていたことを踏まえますと、個別の項目で市民の皆さんへの影響が大きいものなどにつきましては、新まちづくり計画などの関連も含めて、より具体性を持って市民の皆様に説明をしていくことが必要だと思います。特に、今回のプランでは、効果額を未計上とした上で今後のあり方を議論していこうとしている項目もあるわけですから、市民の皆様に対し、現状がどうなっているのか、将来に向けて何が問題なのか、何度も申し上げますけれども、わかりやすく説明をしていくことが非常に大切だと思います。
そこで、質問です。
今後、プランに係る取り組み過程におきまして、そういう市民理解の形成に向けたわかりやすい情報提供を積極的に実践していくことが必要だと思いますがいかがか、お伺いいたします。
◎岸
改革推進部長 プランに掲げた受益者負担等の見直しの必要性について、市民にわかりやすい情報提供を行っていくべきではないかというようなご質問でございます。
サービス水準や受益者負担の見直しについて今後議論を進めていくに当たりましては、ただいま委員のご指摘にもありましたけれども、その必要性や考え方について市民に十分な情報提供を行いまして市民理解を形成していくことが大変重要であると考えているところでございます。
個々の項目の見直しに向けた議論に際しては、基本的にはそれぞれの所管局において必要な情報提供、説明を行っていくこととなりますけれども、これにあわせて、プラン全体としても取り組みの必要性や考え方などについて市民にもわかりやすい形で情報提供を行っていくということは、より幅広い市民理解の形成の観点からも有益というふうに考えます。こうしたことから、現在実施してございますプランの案に対するパブリックコメントに寄せられたご意見なども踏まえながら、必要な情報を市民にわかりやすく提供していくことについて検討してまいりたいというふうに考えております。
◆村上ゆうこ 委員 さきに述べましたように、今回のプランには、保育所保育料など第3次札幌新まちづくり計画との関連が大きなものも見直し項目などに含まれております。プランの取り組みを進めていく上では、第3次札幌新まちづくり計画に位置づけられた事業を行うための投資の結果、ランニングコストを含めた財政負担がどうなっていくのか、それが市の財政全体にどのように影響していくのか、あるいは、見直しによる効果額をどのように活用し、市民に還元させていこうと考えているのか。例えば、現在、福祉サービスを利用している方々、今後さらに希望される市民の方々がともに安定して継続したサービスを受けられるような札幌市の将来像も含めまして、幅広い視点から可能な限り早い段階から市民の皆様に対して情報を提供していっていただきたいと思っております。
本市の市民自治をより確かなものとするために、今後のプランの取り組みにおきまして情報提供、市民議論を十分に行っていくことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆國安政典 委員 私からは、2地域居住につきまして質問させていただきたいと思います。
2地域居住とは、いろいろな形態があるかと思いますけれども、言ってみれば、移住政策の一種であるかと思います。首都圏と札幌など、いろいろな形態はあるかと思いますが、夏の暑いときには札幌で、冬は東京で働く、こういう二つの拠点を住み分けながらというライフスタイルのことだと思います。
言うまでもなく、今、日本は人口減少に突入しており、札幌市はまだ微増という状況でありますけれども、近々、減少に転じていくことが予想されております。この傾向は道内のほかの市町村においては既に顕著でありまして、過疎対策や限界集落の問題として早くから検討がなされてきたわけでありますが、札幌市としては、これまで積極的な移住施策というものを打ってこなかったというふうに思います。しかし、そろそろ来るべき人口減少時代に入るということで、長期的な視野に立って、積極的に定住人口や交流人口を呼び込んでくることが必要になってくるというふうに思うのであります。
また、3月11日の東日本大震災以降、東北、または首都圏から札幌へ避難してきている人は、把握しているだけでも約1,400名に上っています。これは、都会の機能を持つ、なおかつ、安全・安心に住むことができる移住先として、この札幌の潜在的な能力を端的にあらわしているというふうに思いますし、札幌がそういった避難者の方々にとっても第2の故郷としての役割を担っていかなければならない、こういった現状も昨今は見えてきているというふうに思うのであります。そういう意味からも、今後の札幌市の移住施策、とりわけ、その中でもシティプロモートにおいて先行プログラム的に取り組んでおります2地域居住の施策というのは、これまで以上に注目せざるを得ないと思っております。
そこで、伺いますけれども、こういう状況の中で、札幌市の2地域居住の事業は、これまでどのようなことに取り組んで、どういった成果を上げてきていると認識しているのか、また、どのような評価をしているのか、伺います。
◎西野 プロジェクト担当部長 2地域居住につきまして、これまでの取り組み、成果及び評価についてお答えいたします。
まず、これまでの取り組みでございますが、昨年度から、2地域居住推進のために体験モニターを行いまして、札幌暮らしを体験してもらいながら、滞在中に札幌での暮らしぶりをブログやツイッター、フェースブックなどいわゆるソーシャルメディアと言われているもので発信していただきました。具体的には、昨年度の体験モニターの募集でございますが、雑誌、ウェブ広告、ツイッターなどを通じてPR活動を行いまして、74件の応募がございましたが、その中から5組6名の方に冬の札幌を1カ月体験していただきました。その結果、移住に際して冬の暮らしがネックになるという声が多い中、札幌の冬の快適さを発信することができたものと考えてございます。また、今年度は、ウェブ広告を中心に募集を行いましたところ、約8,000件のアクセスがございまして、それが47件の応募になりまして、選考によって夏から秋にかけて6組9名の参加者に札幌の食の豊かさや自然をお楽しみいただいたところでございます。その間、参加者は、不動産物件の視察や就職のための面接などの活動も行われております。そして、滞在中はもちろんですけれども、終了後に、もとの居住地に戻られてからも札幌暮らしのPRを続けていただいておりまして、ソーシャルメディアを活用した札幌との良好な関係が現在も続いているものと考えてございます。
なお、課題といたしましては、参加者からですが、札幌で仕事を探すことへの不安も上がってきてございました。
いずれにいたしましても、成果としては、延べ11組の参加者のうち、移住もしくは2地域における札幌での具体的な活動を希望されている方が3組ございまして、この事業を通じまして住む場所としての札幌の魅力を効果的に全国に発信できたものと考えてございます。
◆國安政典 委員 全国に向けて札幌の魅力を発信できたというお話でございましたし、戻られてからもPRに取り組んでいただいているということでございました。また、札幌のシティプロモートを考える上で忘れてはならない視点の一つとして、札幌は札幌単体だけで魅力を持っているのではないということ、北海道の中の札幌という側面があるということが挙げられるかと思います。本州やアジアにおけます北海道ブランドというのは非常に知名度が高く、札幌もこういったブランドに貢献していくことが大事ではないかというふうにも思うのであります。道内の他の市町村と移住者を奪い合ったり、道内人口が札幌に集中してきているなど、札幌ばかりがメリットを享受しているようになってはよろしくないというふうにも思います。むしろ、北海道全体の魅力を大都市であるこの札幌が発信していくこと、札幌を足がかりにして道内の市町村に移住してもらうような、他の市町村と一体となった取り組みも大事ではないかというふうに思います。こういった動きは、東日本大震災以降の被災者の受け入れの動きを見ても同じような傾向が見てとれるのではないかというふうに思います。
また一方で、今、答弁にありましたとおり、仕事を探すことへの不安というお話がございました。札幌に仕事がないという課題もあるわけであります。仕事がない中で、ただただ移住促進ということだけを叫んでも有効とは言えません。
そこで、例えば、企業と連携して仕事ごと札幌に持ってくるような取り組みも有効ではないかというふうに思います。こういったことで、企業との連携なども大事だと思いますが、どのようにお考えか、再質問させていただきます。
◎西野 プロジェクト担当部長 2地域居住の今後の進め方ということかと思いますが、そのことについてお答えさせていただきます。
まず最初に、委員からのご指摘もございましたが、現在、道内の各市町村が主に団塊世代を対象とした移住促進施策を既に進めてございます。そこに札幌市が参画し、パイを奪い合うような形になることは望ましくないものと考えておりますことから、むしろ、道都札幌として道内の取り組みを積極的に応援していくことが大事であろうと考えており、今年度内にも北海道移住促進協議会に参加させていただき、全道の各都市と足並みをそろえながら北海道への移住をPRしてまいりたいと考えてございます。
一方、札幌に仕事がないという課題でございますが、基本的には、場所に依存しないで創作活動を行えるクリエーターの方、あるいは、パソコンとネット環境さえあれば仕事ができるIT系ビジネスマンを2地域居住の対象として進めてきたところでありますけれども、今お話がありましたように、より大規模な移入ニーズの受け入れなどを考える場合には、やはり、企業誘致や、例えばコールセンターのようなビジネス機能の誘致、そのようなものと連携しながら取り組んでいく必要があると考えてございます。
したがいまして、今後は、そういった面につきましては経済局とも調整しながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。
◆國安政典 委員 今後とも、さらに企業としっかり連携を深めながら、願わくば、こういったことは民間ベースで成立していくことが望ましいのではないかと思います。それまでの間、行政の面で、また、道内の他の市町村、道ともしっかり連携しながら取り組んでいっていただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。
◆林清治 委員 私からは、
まちづくり戦略ビジョンにおける市民意見の活用についてと、札幌市立大学に関して中期目標の策定についてお伺いしたいと思います。
まず、1点目は、
まちづくり戦略ビジョンについてお伺いいたします。
先ほど来、他の委員からも質問がありましたが、現在策定中の
まちづくり戦略ビジョンにつきましては、5月末に公表された策定に当たっての基本的な考え方の中で市民と共有できるビジョンを掲げております。札幌市が推進する市民が主役のまちづくりを実現するためには、目指すべき都市像やまちづくりの目標を市民と行政が一緒に論議しながら共有していく、そのことが大事な視点であり、我が会派としましても、代表質問や委員会においてさまざまな取り組みを提起してきたところであります。
これまで、市民が参加する機会としては、1万人アンケートの取り組み、7月に開催されたワールドカフェ、30名の市民が6回にわたり論議した市民会議、そして、10月1日、2日には分野別のワークショップを実施しました。これらの取り組みは、多くの市民が札幌の市政について考えるきっかけをつくり、そして、市民の声を聞く有効な内容であったと考えております。また、市民が主役のまちづくりを進める上では、多くの市民がまちづくりのことについて主体的に考え、積極的にかかわっていくことが大切であると思います。今後もこのような市民参加事業を積極的に進めていただきたいと考えております。
一方、市民からいただいた貴重なご意見をしっかりと分析し、
まちづくり戦略ビジョンの策定に反映させていくことも大事なことであります。
そこで、質問ですが、既に終了している1万人アンケートや市民会議実施結果、そして、今後、それらをどのように
まちづくり戦略ビジョンの策定に活用していくのか、お伺いしたいと思います。
◎可児
政策企画部長 1万人アンケートや市民会議の実施結果を今後どのように活用していくのかということでございます。
まず、1万人アンケートについてでございますが、今回実施いたしました市民アンケートは、10年後のまちづくりを考える上で重要な視点になると思われる札幌のまちの魅力や札幌が取り組むべきまちの課題、こういったものについて、それぞれ10分野5項目ずつの設門をお聞きする内容となってございます。無作為に抽出した1万人の市民の方に郵送し、2,723名から回答をいただいたところでございます。
市民アンケートの結果についてでございますが、まず、札幌のまちの魅力については、やはり、自然、環境、景観といった分野の魅力度が比較的高く、いわゆる四季の変化であるとか、身近にある豊かな自然、良質な水資源、あるいは公園、緑地の多さ、災害が少ない、そういったことが札幌の魅力であると市民の方も認識されているところでございます。次に、札幌が取り組むべきまちの課題でございますが、人口減少、少子高齢化への対応、あるいは、震災への対応や災害に強いまちづくり、ほかには、地球環境問題への対応といった分野が特に重要な課題として認識されておりまして、安心して子どもを産み育てることができる環境や、老後も安心して暮らし続けることができる環境、あるいは、自然・未利用エネルギーの活用、こういったことが今後取り組むべき重要な課題と認識されている、そのような結果になっているところでございます。
これらのアンケート結果を活用いたしまして、少子高齢化や防災、環境といった特に課題意識の高かった項目につきまして、今月の1日、2日になりますけれども、分野別のワークショップを開催いたしまして、市民の皆さんにより深い議論をしていただいたところでございます。今後は、これらの結果を審議会に報告するなど、
まちづくり戦略ビジョン策定の検討材料として活用していきたい、そういうふうに考えているところでございます。
次に、市民会議についてでございます。
市民会議は、先ほどお話しした1万人アンケートに回答した市民のうち、市民会議への参加を希望された264名の中から、先ほど委員からもお話がありましたように、性別や年齢、住所のバランスを考慮して30名の方に参加していただいて、7月上旬から9月下旬まで6回開催したところでございます。
市民会議では、ワークショップの形式によって市民の目線でじっくりと話し合っていただきました。まず、札幌の魅力や課題、あるいは札幌市の目指すべき姿、こういったものについて議論をしていただき、その後、まちづくりの目標について検討していただいたところでございますが、その結果、すべての市民が見守り、支え合う暮らし、地域づくりや、食、観光、人といった素材を生かした産業づくり、あるいは、市民が学び育てる札幌の文化づくり、こういった五つの項目が重要ということで柱立てされたものになっているところでございます。先ほどお話ししました市民アンケートでは、地域コミュニティーの強化や文化芸術の推進といった分野につきましては、課題としての認識は比較的低かったような結果になっているところでございますけれども、市民会議では、まちづくりの柱として位置づけられるなど、市民アンケートとは違った方向性も出てきているところでございまして、さまざまな形での市民参加が重要なのだなと改めて認識したところでございます。
これらの市民会議の結果につきましては、今後、審議会に報告するなど、
まちづくり戦略ビジョンに反映させていきたいというふうに考えているところでございます。
◆林清治 委員 ただいまご答弁いただいたとおり、札幌の魅力であるとか、いろいろな課題、そういった部分では市民参加事業をやることによって多くの意見が寄せられたのかなというふうに思っております。
まちづくり戦略ビジョン策定において、今後の審議会における議論の中で大きな方向性が示されてくるというふうに聞いておりますが、その方向性決定の中にこの市民意見をしっかりと活用していただいて、
まちづくり戦略ビジョンの方向性を決めていただきたいというふうに思っております。
次に、札幌市立大学についてお伺いいたします。
平成18年4月に開学した札幌市立大学ですが、平成16年4月に施行された地方独立行政法人法に基づき、自立的かつ弾力的な業務運営を行うという目標を持ち、開学時から公立大学法人として運営されております。平成23年度は、地方独立行政法人法に基づき、市長から札幌市立大学に指示した6年間の第1期中期目標期間の最終年度となっておりまして、平成24年度からの次期中期目標設定を進めているというふうに聞いております。そこで、現中期目標期間の最終年度といった節目の年に当たりまして、開学から現在までの札幌市立大学の運営状況についてお伺いしたいと思います。
まず、開学以降、さまざまな取り組みを行っていると聞いておりますが、開学から現在までについて、設置団体である札幌市として総括的にどのように評価しているのか、伺いたいと思います。
また、札幌市立大学は、デザイン学部と看護学部の2学部という構成で、全国でも大変珍しい学部構成の大学であり、デザイン学部と看護学部との連携による教育研究がこの札幌市立大学の特徴として位置づけられております。その取り組み状況と成果についてもあわせてお伺いしたいと思います。
◎可児
政策企画部長 開学から現在までを札幌市として総括的にどのように評価しているかということでございます。
まず、市立大学の中期目標の取り組み状況でございますけれども、昨年、札幌市が設置いたしました札幌市地方独立行政法人評価委員会がございまして、ここで中間評価をしていただいているところでございます。その結果、業務全般にわたって真摯に努力し、ほぼ順調に取り組まれており、現段階での達成状況はおおむね満足できると評価をいただいたところでございます。具体的には、受験者数は両学部とも毎年度3倍程度の倍率を維持していることや、就職についてもきめ細やかな支援を行っておりまして、看護学部は100%、デザイン学部も85%程度と健闘しております。さらには、大学の退学率も1.4%と極めて低い水準でございます。市立大学で学ぶことに意欲を持った学生をちゃんと確保している、そういったところでございます。
一方で、幾つかの課題も顕在化してきているところでございまして、例えば、大学の理念の一つであります地域連携や地域貢献については、より一層、成果を上げる必要があるということや、国際交流に関する事項についてもまだ不十分であるというような指摘もされているところでございます。また、大学の成果であるとか地域貢献を外に向かってアピールすることが不足していることから、市民に正しく伝わっていないのではないかといったことも懸念されているところでございます。札幌市としては、顕在化してきた課題の解決を積極的に行って、より地域に貢献できる大学になることを期待しているところでございます。
次に、デザイン学部と看護学部の連携による取り組みと成果でございます。
市立大学は、人間中心の視点と感性を重視するというデザイン学と、健康、医療、福祉と連携した看護学、これらにおいて豊かな地域社会を実現するための人材育成を目標にしているところでございます。そのため、1年次目に履修するスタートアップ演習という科目がございますが、これによって両学部の学生が協力して企画、調査、分析、発表までを行い、問題解決能力や異分野と連携できる柔軟な対応力を養成しているところでございます。また、3年次目には学部連携演習ということで、お互いの専門性をより高めた上で連携し、専門性を相互に生かして相乗効果を発揮しながら調査研究を行っているところでございます。
デザイン分野と看護分野の共同研究の具体的な成果として、例えば、平成21年度よりITを活用した遠隔看護サービスの調査研究というものがございますけれども、コンテンツデザインや製品デザインの専門的見地から、ITにふなれな高齢者や在宅療養者に使いやすいシステムの開発と遠隔からの看護サービスの実証実験を継続的に実施しております。また、ナースステーションのあり方研究ということで、空間デザインの観点から、看護師の作業分析、動作空間、そういったものの分析を行って労働環境改善の研究が行われるなど、着実な取り組みが行われているところでございます。
◆林清治 委員 ただいま答弁をいただきました。私も
ホームページを見てみましたけれども、学生たちも本当にいろいろな分野でいろいろな取り組みをしていただいているなと。デザインの賞なども幾つか受賞したりしている実績も載っておりまして、そういう意味では札幌市立大学の知名度アップにもつながっているのかなというふうに思っているところであります。
そして、地方自治体にとって公立大学設置の最大のねらいという部分でいけば、やはり、市民への還元という視点もあるのかなというふうに思います。重要なことは、地域社会への貢献であると思います。先ほど、札幌市立大学の教育研究上の理念としても、地域社会への積極的な貢献を掲げており、市民に開かれた大学、市民の力となる大学、そして市民が誇れる大学、この三つの視点から地域貢献の使命を果たしていくというふうにされております。
そこで、質問ですが、札幌市立大学の開学から現在までの主な地域貢献の取り組みについてお伺いしたいと思います。
◎可児
政策企画部長 市立大学の主な地域貢献についてお答えしたいと思います。
市民に学びの場を提供するという観点から、市民公開講座も積極的に行っているところでありまして、5年間で206こま、約7,000名が受講しているところでございます。また、平成20年度からは、大学附属図書館の図書の市民貸し出しも開始しておりまして、3年間で5,000人以上の利用者があるという状況でございます。このほか、看護学部では、全国で4番目となる認定看護管理者制度のサードレベルの教育機関の認定を受けまして、看護管理者を養成する教育課程を設置してございますが、これは、現職の看護師向けに開講することから、道内の病院の看護レベルの向上にも貢献しているところでございます。また、デザイン学部では、観光分野の新たな魅力創出ということで、シーニックバイウェイ制度を活用したまちづくりや定山渓温泉地の空き店舗を活用したアート縁日、こういったものを地元団体と協働・連携して実施してきたところでございます。また、芸術の森地区や桑園地区では、学生たちが積極的に地元の行事に参加して、若者のパワーが地域のまちづくりに発揮されているところでございます。
一方、課題もございまして、経済の活性化に貢献するということでは、産業界との連携がなかなか十分ではなかったというふうに考えているところでございます。今年度から、本学教員の研究成果を地域の経済界や研究機関に伝える機会を設けまして、研究交流会を11月に開催することとしておりますが、このような取り組みを通じて産業界との連携も強めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆林清治 委員 ただいまご答弁をいただきまして、できることはまださまざまあるのかなというふうに思っております。そういうことも含めまして、平成24年度からの次期中期目標について、今後、議会の議決等も得て札幌市立大学の中期目標を決定していくことになると思いますが、その目標には札幌市の大学に対する思いと期待が反映されることになると思います。
私は、札幌市立大学には、より一層の地域貢献を期待しているところであります。先ほどの答弁でも、現中期目標において、産業界との連携については十分に実施できなかったということがありましたが、この地域貢献の中でも、経済活性化への貢献、地元産業界との連携については積極的に取り組んでいただくことを特に期待しているところであります。また、より高度な教育研究機関として、平成22年度には大学院の修士課程を設置し、さらに、24年度には大学博士後期課程の設置を目指していることからも、産業界との連携についてもより高度な展開が期待されていくこととなります。次期中期目標では、これらのことも含め、どのような方針で策定をしていくのか、お伺いしたいと思います。
◎可児
政策企画部長 次期中期目標について、どのような方針で策定していくかということでございます。
次期中期目標につきましては、さらなる大学の発展に資する、そういうような目標にしたいと考えておりまして、現在、大学と協議を行いながら策定作業を進めております。ことしの第4回定例市議会には中期目標を上程いたしまして、ご審議していただきたいというふうに考えているところでございます。
現在の中期目標は、開学して最初の目標といったこともございまして、大学運営の全般にわたって網羅的に目標を付与したところでございますが、次期の中期目標については、やはり、目標を重点化して取り組んでいくべきだというふうに考えてございます。その中でも、市立大学の開学当初からの理念であります人間重視を根幹とした人材の育成や地域社会への積極的な貢献については、より強化していきたいというふうに考えているところであり、市立大学の存在意義を地域貢献を通じて広く市民に理解してもらうとともに、大きな課題でございます札幌の経済の活性化に資するために、既存産業の高度化や新産業の創出に対してより一層貢献できるよう求めていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
◆林清治 委員 ただいま、次期中期目標の方針等を答弁いただいたところでありますが、札幌市立大学設立時の市民の期待にこたえるためにも、また、価値をさらに高めていくためにも、取り組みの強化をお願いしていきたいというふうに思います。
先ほど述べたとおり、デザイン学科と看護学科という学部構成の中で、他の公立大学ではできないことにもチャレンジしていくことが大事であると思います。例えば、この二つの学部の特徴を生かし、介護、医療の現場でさらに使いやすい器具のデザインの開発などに取り組んでいくとか、研究を深めていく、さらには、研究開発したものを市内の業者に製作、販売していただくなど、経済活性化にもつなげて経済活動への貢献度を高めていく、そのことが大学の知名度をさらに上げ、札幌の魅力アップにつながっていくのかなというふうに思っております。そのことを要望しまして、私の質問とさせていただきます。
◆三宅由美 委員 私からは、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟について、この1項目だけ質問いたします。
代表質問でも林議員が創造都市さっぽろについて質問いたしましたが、今年度中にユネスコ創造都市ネットワークへの加盟申請を行うとの市長のご答弁がございました。ユネスコ創造都市ネットワーク加盟は、札幌が日本の中の一地方都市というだけではなく、世界に向けて直接発信できる世界都市となるための重要な都市成長戦略であると私は考えております。先ほど、可児部長からも、
まちづくり戦略ビジョンの中で文化芸術が大きな柱となるというようなご答弁がございましたが、私もそのとおりだと考えております。
ネットワークには、現在、29都市が加盟しております。日本では、金沢市がクラフト&フォークアート、そして、神戸市、名古屋市がデザイン、この3都市が既に加盟しているところですが、世界の多くの都市が加盟を検討しており、今現在は世界じゅうでも29都市にとどまっておりますけれども、数年後には100都市を超えるとも言われているところです。年々、競争が激しくなる傾向がありまして、ユネスコ申請に向けては本当に検討のスピードを上げていく必要があると考えているところです。
ユネスコ創造都市ネットワークの申請分野には、文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディアアート、ガストロノミー、これは食文化のことですが、この七つの分野があります。札幌市は多様な魅力を持っておりまして、例えば、北海道の豊かな食材を利用した食文化、国際短編映画祭などに代表される映画部門、50周年の歴史を持ち市民に親しまれている札幌交響楽団、PMF、サッポロ・シティ・ジャズなどに代表される音楽、クラフト&フォークアートではアイヌの伝統的工芸品、メディアアートではICCを拠点に活動しているクリエーター集団や、初音ミクといった世界的なキャラクターを生み出した企業の存在など多様な魅力を持っており、どの分野で申請するか、大変、意見の分かれるところだと考えています。
私は、このような中で、早く分野を決めて申請しなければならないということを思いますと、メディアアートが一番有望ではないかと考えております。メディアアートについては、まだ理解が少ないとは思うのですが、文化芸術振興基本法では、映画、漫画、アニメーション及びコンピューター、その他の最新の電子機器等を利用した芸術と定義され、基本的施策として振興を図ることとしております。定義のとおり、メディアアートは、映画からデジタル技術まで幅広い分野がかかわる芸術分野であり、私は、先ほど述べた札幌の魅力を包括的に世界に発信できると思います。食文化の豊かさや音楽、あるいは映画など、さまざまな面でメディアアートを使って世界に発信できるものと思っております。さらには、創造的な産業の育成、強化、経済の方にもつなげていきやすい分野であると考えております。申請分野としては、ぜひメディアアートというふうに考えているところです。
そこで、質問ですが、ユネスコ申請に当たっての要件はどのようなものがあり、現時点で札幌市としてどの分野が最も有効であると考えているのか、伺います。
◎西野 プロジェクト担当部長 ユネスコ創造都市ネットワークの登録に当たりましての要件及び有力な登録分野についてお答えいたします。
ユネスコは、
認定都市に対しまして、認定を受けた分野の文化の保護や継承と、文化を生かした産業の育成強化を官民が一体となって取り組んでいることを要件として求めてございます。札幌市では、このような要件を踏まえましてこれまで調査を行いますとともに、庁内外の会議におきまして札幌市にふさわしい加盟分野について検討してきたところでございますが、その結果、デジタル技術と芸術を融合いたしました新しい芸術表現でありますメディアアートでの申請が最も有力であるものと考えてございます。
その理由といたしましては、既に委員の方からご指摘がいろいろございましたが、まず、文化芸術施設やイベントが充実しておりますこと、デザイン学部を有する市立大学などの教育機関があること、また、著名なデジタルコンテンツ企業の存在、これら札幌が持つ創造的資源がユネスコの示す登録要件と合致していること、次に、映画、音楽、デザイン、食文化といったメディアアート以外の登録分野にも幅広い経済波及効果が期待できること、さらに、これらのことに加えまして、実は、メディアアートの登録都市が現在は世界で1都市と競合が非常に少ない状態になってございまして、ユネスコ本部からの意見聴取におきましても好感触を得ていることなどがございます。
なお、最終的な登録分野の決定につきましては、経済界、学識経験者などの産学官で構成いたします実行委員会を設立いたしまして、その会議の中で決定いたしたいと考えてございます。
◆三宅由美 委員 ネットワーク加盟に向けて着々と進んでいることを理解しました。
ユネスコ創造都市ネットワーク加盟に際しては、創造都市の概念の発祥の地である本場ヨーロッパの都市や、近年、創造都市として勢いを増しているアジアの都市との交流が行われていることが大事であると思います。他都市の取り組みを学びつつ、札幌の魅力を発信していくために、創造都市をテーマとした国際シンポジウムの開催を検討しているとのことですが、具体的にどのような内容を考えているのか、伺います。
◎西野 プロジェクト担当部長 国際シンポジウムの具体的な内容についてお答えいたします。
ユネスコ創造都市ネットワークの登録に向けまして、札幌市民や企業の機運醸成と世界の創造都市関係者との交流を目的といたしまして、創造都市さっぽろ国際シンポジウムを11月22日に開催することといたしております。この会議には、アメリカ、ドイツを初めとした国内外の学識経験者、先進事例を有しております札幌の企業経営者、世界で活躍するクリエーター等をお招きし、創造都市の取り組みによる都市の活性化などを主なテーマにいたしまして講演や討論などを行う予定でございます。この国際シンポジウムで得られました知見を今後の創造都市さっぽろの施策に生かしていきますとともに、シンポジウムのPRや市民参加を通じまして、創造都市さっぽろの考え方やネットワーク登録の意義などについて市民の方への理解を広げてまいりたいと考えてございます。
なお、同じ11月に、ソウルにおきましてユネスコ創造都市ネットワーク会議が開催される予定でございますが、その会議にも札幌市として参加し、加盟都市との交流を図りながら、加盟後には同様の国際会議が札幌でも開催することができるように、国際会議誘致の観点からも展開を進めてまいりたいと考えてございます。
◆三宅由美 委員 国際シンポジウム開催による国際交流や、このシンポジウムを通じて市民理解を広げていく取り組みについて理解したところです。
もしメディアアートを中心に考える場合に大事なのは、キュレーターやアーチストなど、このような創造的階層をどうつくっていくのか、若い才能の発掘や育成が大切だと考えております。私は、現代アートセンターのような展開を、例えばまち中の空きビルを活用し、商店街の振興とあわせて活動の場を設け、人材育成、人材集積を図っていくことが都心の活性化にもつながると考えています。また、定山渓でも空き家を利用してこのようなアートを展示している、発表しているということも大変よい試みだと考えております。また、アーティスト・イン・レジデンスは、国内外の有名なアーチストを迎えて滞在してもらうというような事業です。あるいは、2地域居住でアーチストやクリエーターを呼ぶなどの取り組みで人材を誘致してくることも重要だと思います。
ぜひ、このような重層的な取り組みの中で展開していただくことを要望して、質問を終わります。
○伊藤牧子 委員長 以上で、第1項
総務管理費中
市長政策室関係分の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時46分
再 開 午後3時10分
――――――――――――――
○伊藤牧子 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中総務局関係分及び第12款 職員費 第1項 職員費について、一括して質疑を行います。
◆石川佐和子 委員 私は、コンプライアンスに関して、大きく2点、公益通報制度と総務局実施プランの重点取り組みについて伺います。
まず、公益通報制度についてであります。
先日の大都市行財政制度調査特別委員会における行財政改革推進プラン案の審議の中で、私はコンプライアンスの徹底について質問をさせていただきまして、その答弁を踏まえて質問させていただきます。
コンプライアンスとは、企業倫理においてよく言われておりますけれども、組織などが経営、活動を行う上で、法令や規則、社会的規範などを守ることというふうに記されております。コンプライアンスを行財政改革推進プランに盛り込んだ考え方は、市役所の職員が不正行為の防止や法律の運用能力を高めるなど、市民から信頼される組織となるためというお考えを伺いました。また、そのための体制として、2006年度から公益通報制度を整備したということも伺いました。公益通報とは、市民の安心・安全を脅かすことになる事業者の法令違反などを通報する仕組みでありまして、市役所におきましても公平・公正な職務遂行と市政運営の透明化、そして、市民から信頼される市政運営を図るために重要な取り組みであるというふうに考えているところです。
そこで、質問ですが、2006年度の制度開始以降、公益通報は合計で19件という報告がありました。この結果の評価をまず伺います。
また、その19件の内訳で言いますと、局の人事課や総務課が窓口となっている内部通報が18件、そして、1件は2009年度から設置した弁護士による外部通報窓口への通報であったということでありますが、これについてもどのように評価をされているのか、あわせて伺います。
また、2点目の質問でありますが、公益通報制度の周知に向けた取り組みについてはどのように進めてこられたのか、また、今後についてはどうなのか、あわせて伺います。
◎渡邉 行政部長 まず、公益通報の件数の評価についてというご質問でございます。
札幌市の公益通報の対象といたしましては、法令等に違反する行為のほか、市民の信頼を損なう行為まで広く対象としているところでございます。また、平成21年度からは、お話にございましたように、外部の通報窓口として弁護士の事務所にも通報できるようにし、これによりまして、より通報しやすい環境を整えたと考えているところでございます。
この累計19件の内容といたしましては、多くがセクハラ、パワハラ、あるいは飲酒に伴う非行に関するものでございまして、この件数の評価ということでございますけれども、内部窓口あるいは外部窓口のいずれにいたしましても、事柄の性質上、件数の多寡による判断はちょっと難しいというふうに考えてございますが、このような仕組みがあること自体が法令等の違反行為に一定の抑止効果があるものというふうに考えているところでございます。
2点目の公益通報制度の周知の取り組みでございますが、職員向けの
ホームページのトップページから公益通報のページに入れるようにしておりまして、その中で通報先を周知したり、あるいは、そこから直接通報ができるような仕組みにしているところでございます。また、平成21年度にコンプライアンスを担当する組織を設置して以降、公益通報を含めましたコンプライアンスに関する研修を随時実施してございまして、各所属からの依頼によって実施するものも含めますと、毎年1,000人以上の職員に受講していただいているところでございます。
今後とも、こうした研修の機会などを通じまして、引き続き、公益通報の周知徹底を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
◆石川佐和子 委員 外部通報窓口の設置などでより通報しやすい環境を整えてきたというような答弁をいただきました。そうした外部通報窓口は、札幌市職員等の公益通報等に関する要綱におさめられているところでありますけれども、市民ネットワーク北海道は、2009年第1回定例会の代表質問と常任委員会において、公益通報については、要綱などの内部規定に基づくものではなく、条例という法規範における制度にすべきということを求めてまいりました。2006年には、大阪市が政令市で初めて公益通報を含む条例を施行するなど、他都市でも条例化しているという報告があります。先ほども、内容からいって1件、2件で効果があったかどうかというところは難しいというようなお話がありましたけれども、通報したことで通報者が不当な扱いをされるのではないかといった心配があるとか、周知もされているということですが、そういった不足もあるのではないかとか、そういったことをまだ考えるところであります。
そこで、質問ですが、通報した職員が不利益をこうむらないということをしっかり担保し、迅速かつ適正に対応するためにも、公益通報を条例化するべきではないかというふうに考えております。改めて、ご見解を伺います。
◎渡邉 行政部長 公益通報に関します条例につきましては、東京都千代田区が平成15年に公益通報者保護法の法律に先駆けて施行したのが最初というふうに認識してございます。この条例化による効果でございますが、公益通報を受け付けたり調査したりいたします委員会を附属機関として位置づけることが挙げられますけれども、私どもの把握する限りでは、この委員会の調査に強制力を持たせている事例は見当たりませんでしたし、また、通報者の保護についても法の規定を上回るものではないというふうに認識しているところでございます。
このため、近年では、公益通報のみではなく、包括的なコンプライアンスに関する条例を制定する傾向となってございますが、これらの条例制定の背景としては、職員に対する外部からの不当な要求、圧力による重大なコンプライアンス違反が発覚した自治体が、職員の倫理、責務、不当要求への対策であるとか、外部窓口による公益通報の処理などの確保、確立を目的として定めた事例が多いものというふうに思ってございます。
本市では、これまで、不当要求対策に関しても要綱を定め、職員に対して研修を実施するなど、積極的に対処してきておりますし、また、コンプライアンス委員に民事暴力対応の経験が豊富な弁護士の方に入っていただくなど、コンプライアンス担当の組織において公益通報の処理と一元的に対策に取り組んでいるところでございます。
このように、本市におきましては、外部からの不当な働きかけが顕在化するなど、条例化が喫緊の課題となっている状況とは認識していないところでございますけれども、コンプライアンスに関するさまざまな取り組みにつきましては、他都市の状況、あるいはコンプライアンス委員の意見などを参考にしながら、引き続き調査検討を進め、より一層、コンプライアンスの徹底を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
◆石川佐和子 委員 続いて、大きく二つ目の総務局実施プランについて伺います。
2010年度の総務局実施プランによりますと、コンプライアンスの充実が重点項目の一つとして掲げられておりまして、その取り組み内容としては、業務の適法性、公正性等の確保と、改善が必要な事項があった場合に迅速に対応できるよう、法令等遵守の取り組みについて定期的に検証する体制づくりを進めますと書かれております。そして、この趣旨を伺いましたところ、監査で指摘を受けた事項について、その場限りの改善とすることなく、指摘の原因を解消し、再び同様な指摘を受けることがない体制を構築する取り組みを行うということをお聞きいたしました。市役所における日常的な業務のミスや規定違反をなくしていくことは、コンプライアンスを徹底していく上でも非常に大切な基本的なことだというふうに思っております。
そこで、1点目の質問でありますが、2010年度局実施プランに基づいて取り組まれた内容について、具体的に伺います。また、その成果はどうであったのかもあわせて伺います。
また、2点目の質問ですが、今年度、2011年度の局実施プランにおきましては、コンプライアンスの充実に向け、不正を早期に発見するため、より通報しやすい仕組みを検討しますというふうにありますが、これについてはどこまで取り組みを進めておられるのか、また、今後の進め方についてもあわせて伺います。
◎渡邉 行政部長 平成22年度の局実施プランの関係でございますが、まず、指摘の原因を解消する取り組みについてでございます。
監査からの指摘は物品購入等の契約に関する事項が多かったことから、関係部局によって検証チームを設けまして、課題の整理と問題改善について検討を行ったところでございます。この検証の中で、物品購入等における適正な事務執行についての全庁的な通知を行ったほか、業務上、必需品でありますパソコンの年度末の購入方法について改善を図るなどの取り組みを実施いたしまして、監査で指摘をされた事項の原因の解消に一定の成果があったものというふうに考えております。
次に、同じく22年度の局実施プランのうち、再び同様の指摘を受けることがない体制を構築する取り組みについてでございます。
監査の指摘事項につきましては、当然、監査対象部局のみならず、市全体に一層の周知を図り、業務改善に寄与する取り組みを実施しているところでございます。具体的には、平成22年度中に契約事務に関する研修を4回実施したほか、各局・区で実施しているコンプライアンス研修において監査の指摘内容を取り上げるなど、研修を通したさらなる通知を図っております。また、同じ平成22年度から、総務局において指摘事項等の中から全庁的に注意をすべき事項を抽出したチェックリストを作成いたしまして、自主点検リストとして各局にお送りする取り組みを始めたところでございます。この自主点検リストにつきましては、各局において、定期内部監査の際にその監査項目に加えて点検を行っていただくなど、業務のさらなる適正化に向けて活用していただいており、成果があったものというふうに認識しているところでございます。
続きまして、2点目の平成23年度の取り組み状況についてでございます。
職員の不正行為の防止と早期発見を図るために、職員の職務上の不正行為に関する情報を、市民の方が、直接、市長あてに通報できる仕組みを整え、本年7月から運用を開始したところでございます。この通報は匿名でもできることといたしまして、処理に当たりましては、公正性の確保や通報者の保護を図るために、必要に応じてコンプライアンス委員に関与していただくこととしてございます。現在のところ、この仕組みによって重大な不正行為が発覚した事案はございませんけれども、今後もこういった仕組みの適切な運用を通じまして、より一層、コンプライアンスの徹底を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
◆石川佐和子 委員 物品購入に関しては、検証チームにおいての検証とか、研修を全庁的に行ったり、あるいは、チェックリストで一つの部局での取り組みを全庁的に共有するなど、さまざまな取り組みをされていることがわかりました。
しかし、一昨日の財政局の質問でも言わせていただいたのですが、このたびの行財政改革推進プランでは、新たに53億円の市民の負担を提案されておりまして、やはり、市民のためのしっかりとした行政運営や
市民サービスの質的向上が求められているというふうに思います。市民のための市役所、そして、市民にさらに信頼される市役所となるために、コンプライアンスの充実は欠かせないものというふうに考えています。
公益通報制度の周知は、今、
ホームページ等で行っており、その結果についても
ホームページ等に載せられていることは存じておりますけれども、例えば、札幌の広報で結果を報告するなど、そうした周知もさらに工夫があるのではないかというふうに思っています。職員一人一人の力をさらに高めていき、組織全体の力を向上させていく取り組みを今後もさらに引き続き行っていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
◆木村彰男 委員 私は、7点、1、職員の福利厚生会交付金、それから、2、包括外部監査について、3、職員の再任用、転任試験について、4、人事同意案件における人選のシステムについて、5、自治研修センターがやっておるところのジョイまちゼミナールについて、6、東京事務所の経費について、7、オンブズマンについてお聞きしたいと思います。
まず、会派勉強会でもお尋ねしたのですが、昔であれば、庁舎の周りに食堂もなく、レストランもなく、コンビニもないということで、職員の方々の昼食、また区役所における食堂について、福利厚生という観点から準備されておったということは非常に理解できるところではございます。
しかし、見渡せばたくさんのレストラン、食堂、コンビニができた現在、こういうような形での食堂の維持、もしくは売店の維持等について、現在、理事者の方はどのように考えていらっしゃるのか。とりわけ、2年後には契約が切れるということもお伺いしておりますので、その辺についてお伺いしたいと思います。
◎谷江 職員部長 まず、福利厚生会の事業のうちの食堂、売店のお話と思います。
食堂、売店につきましては、今、委員からお話がありましたとおり、現在、委託している事業者との契約が2年残っておりまして、その後、どのような形で事業を展開していくかということにつきましては、私どもは福利厚生会と一緒になって検討を進めているところであります。
◆木村彰男 委員 近いところでは、私も道庁の食堂に入ったことがございますけれども、道庁につきましては契約切れと同時に新しい業者が入っています。もしくは、たしかセイコーマートだったと思いますけれども、そういう者が入って営業をされていらっしゃる。別館の方については、たしか、セブン−イレブンが入って土・日も営業されていたかと思うのですけれども、セキュリティーの問題等を含めて、土・日は営業できないとか、5時を過ぎると営業できないということで、日程が非常に不利益だというようなことも伺っております。そういうようなことも含めて見直すという理解でよろしいのでございましょうか。
◎谷江 職員部長 食堂、売店につきましては、福利厚生施設という位置づけにしてございまして、私どもといたしましては、職員をターゲットにしたものということでありますので、時間延長等については今のところ考えてございません。また、道庁でいろいろと新しい事業者が入ったというお話もありましたけれども、平成25年度以降の事業者に当たりましても、今までもやってきておりますが、公募という形は当然とることになろうと思います。
◆木村彰男 委員 もう一つ、市立病院の方もありますが、これは、土・日であっても、病院の関係者やお見舞いの方を含めて多少違った形での運用も考えられるかというふうに思うのですけれども、これについてはいかがでございましょうか。
◎谷江 職員部長 市立病院の売店につきましても、現時点では、契約上、まだ福利厚生施設ということにしておりますが、本庁の売店、食堂とは異なって市民の利用が多いということがありまして、使用料を徴収するなどの取り扱いをしてございます。
◆木村彰男 委員 私は、ぜひ、他市でどのような形で運営されておるのかと。特に、政令指定都市関係で、札幌市と同じような形のレストランというか、売店というか、そういうものを運営しているところももちろんあると思うのです。やはり、先進的な地域もよくご検討された上で、2年後の更新につきましてさらなるご検討をお願いしたいというふうに思います。
次に、包括外部監査の件についてでございます。
包括外部監査につきまして、私の方で資料を集めて見せていただいたところによりますと、昨年に関しては、酒井 純さんと言う個人が1,900万円で随意で契約されておるのであります。この方は公認会計士でございまして、公認会計士の協会の方から推薦を受け、その推薦を受けた方に随意で契約したというふうに承っております。この方は、平成20年度、21年度、22年度と3年間にわたり、同じ金額で契約されておるのでございます。
しかし、他の政令指定都市を見ると、必ずしもそのような形での推薦ではなく、複数の候補者から推薦を受け、その中から、値段の安い方というのかどうかわかりませんが、適任の方をお選びしている。つまり、選択肢があるという政令指定都市もあるやに伺っておりますけれども、何ゆえに札幌市だけがそのような方法をとられておるのか、お答え願います。
◎渡邉 行政部長 包括外部監査契約の締結に当たりましては、当然、監査の目的から見まして、価格のみの競争ということは適さないだろうということもありまして、委員からお話のございましたように、公認会計士協会北海道会に適任者1名の推薦を依頼しているところでございます。
平成22年度の包括外部監査人については日本公認会計士協会北海道会の会長でございますし、平成23年度の現在の包括外部監査人は公認会計士協会本部の公会計委員会の委員に就任しているなど、公認会計士協会からは豊富な経験を有した適任者を推薦していただいているものというふうに思っておりまして、質の高い監査の確保の観点からは、現在の選定方法が妥当であろうというふうに考えているところでございます。
なお、お話のありましたように、複数の提案をいただいている市というのは、私どもでも他の政令市に聞き取りをしたところ、4市ほどあるというふうに伺っているところでございますが、公募の背景といたしましては、推薦母体となる公認会計士協会の地域会のエリアとか会計士の会員数の規模の大きさなど、さまざまな事情があるものというふうにお伺いしているところでございます。
◆木村彰男 委員 平成17年度、18年度、19年度は弁護士会からの推薦を受けた方が公認会計士にかわって包括外部監査をしておりまして、法令によりますと、弁護士もしくは税理士もその対象になり得るわけでございまして、公認会計士の協会だけに推薦を求めるのではなく、札幌市内の利便を考えても、弁護士会及び税理士会に求めた上で、この3者から具体的な人選を得るという案はいかがでございますか。
◎渡邉 行政部長 お話しいただきましたように、平成17年度から19年度の間、弁護士の方を包括外部監査人に選定した実績がございまして、この際には、いわゆる有効性や効率性、経済性といった観点のほかに、規程類であるとか契約等に基づき執行されている財務事務等の適法性の観点を主眼とした監査を実施していただいたところでございます。また、税理士につきましても財務書類等の作成に通じており、税務に関する高度な専門性を有する資格であるというふうに認識してございます。
ただ、本市の厳しい行財政運営の中で行財政改革を適切に実現していくためには、有効性あるいは効率性、経済性といった観点から監査をしていただける公認会計士による包括外部監査によって一層適切な事務の見直しをすることが有益というふうに考えて、現在、そのような取り扱いをさせていただいているところでございます。また、全国的にも、監査業務全般のノウハウがあることや複数の補助者とチームを組んで業務を行うことなどから、公認会計士を選定している自治体が多く、本市にとっても有益な監査の結果を得ることができるというふうに思っております。
ただ、北海道では平成22年度から税理士を選定するなど、公認会計士以外の資格者を選定している自治体も確かにふえてきていることもありますので、今後とも、ほかの自治体の動向もよく注視しながら、本市にとって有益な監査結果を得られるような選定に努めてまいりたいと考えております。
◆木村彰男 委員 とりわけ私がちょっと気になるのは、最初の年が1,900万円というのはそうだとしても、私は、仕事を発注する上でだんだん習熟していくというふうに考えているのですね。やり方についても、最初はなれないから時間もかかるし、スピードも遅い。ところが、1年、2年、3年とたつうちに、やり方もわかり、スピードも速まっていくという形で仕事がはかどっていくというふうに理解しています。しかし、例えば、翌年は1,800万円にしてくださいとか、その次は1,700万円にしてくださいとか、そのように言った形跡が全くないのですね。
この辺については、今おっしゃったような形の値引きの話というのはなかなかできないのかもしれませんけれども、やはり、財政逼迫の折、このとおりの形で実績としては1,900万円でおさまっていないのですね。そういうことも考えますと、言うだけは言ってみるといいますか、交渉してみるといいますか、そういうようなことはできないのでございましょうか。
◎渡邉 行政部長 包括外部監査にかかわる費用につきましては、基本的に、執務していただいた日数に応じて上限額を定めているものでございますけれども、包括外部監査は、ご承知のとおり、毎年テーマを変えて実施するものでございまして、当然、そのテーマの内容によりまして執務日数が変わってまいりますことから、必ずしも経験年数に応じて執務日数が減少することにはならないものというふうに認識してございます。
◆木村彰男 委員 私は他市の価格も見せていただいて、札幌市と同程度といいますか、監査も同じぐらいのレベルで時間がかかっているようなところについても金額はばらばらですね。ですから、算定のベースになっている金額というのは、私は必ずしも同じ形で横並びになっているとは思っていないのです。ですから、私は、ぜひ、財政の方にもご相談いただいて、そういうことの見直しも含めてご検討いただきたいというふうに思います。
次に、職員の再任用及び転任試験のお話をさせていただきたいと思います。
現在、お話を承りますと、職員の方が60歳で定年を迎えられた場合、大体5年間は再任用されているということで、ご希望の方全員がなっているということではございませんが、約6割の方が再任用されているというふうにお聞きしております。将来、定年制の延長ということも射程に入っているようでございますけれども、この考えといいますか、5年、もしくはそれ以上になるか、それ以下になるかわかりませんが、この辺については今どのようにお考えになっていらっしゃるか、お答え願います。
◎谷江 職員部長 職員の再任用についてですが、現時点では、平成14年度の制度導入以降、年齢の上限がだんだん延びてきておりまして、今は65歳までになっております。定年の延長につきましては、先般、国の方では人事院が意見の申し出ということで出しておりますけれども、地方公務員法の改正というようなお話がまだ出てきておりません。そういったことを見きわめながら、必要があれば検討することになろうかと思います。
◆木村彰男 委員 再任用と同時に、出資団体の方に行かれる方もおり、これは、市民感覚から見ておりますと、私も民間の会社にいたのですけれども、60歳を過ぎて任用される方についてはやはり大変厳しい状況でございまして、60歳を過ぎてから、ハローワークといいますか、そういう形で職を求められている方もたくさんいらっしゃるのは私も存じ上げております。そういう方から見ると、6割、7割、もしくはそれ以上の方が出資団体を含めて自動的に雇用されているという現実については、何か釈然としないという市民感覚もあるかと思います。もちろん、給与的なものや条件的なものもございますので、必ずしも一律なことは申し上げられませんけれども、例えば、そういうような方の任用も含めて、職域にもよるのかもしれませんが、市民の方々とのワークシェアといいますか、雇用も含めて、任用の際にそういうことを考慮するようなことはできないのかということをお尋ねしたいのです。
◎谷江 職員部長 再任用の制度というのは、札幌市の職員が退職した後に再び任用されるということでございますので、民間の方が再任用制度に乗ってくるということは今の制度の中ではあり得ないということになってございます。
◆木村彰男 委員 それはわかります。そうではなくて、ワークシェアといいますか、要するに、新しい方を採用する際に、退職される方と、さらにそこから再任用される方を引いたところで新人の方を任用されるということで承っておるものですから、新人の任用の際に再任用の方がそれだけいるということであれば、わかりませんけれども、新人の方をとるのもいいですが、同時に高齢者の方もこの枠の中に入ってくるかということをお尋ねしているのです。
◎谷江 職員部長 再任用制度につきましては、今まで札幌市の場合は団塊の世代の大量退職ということで大きな山がございまして、再任用を行うことにより、それをならすという効果が非常にございました。また、大量退職に伴う知識、経験の消失を防ぐといった趣旨もございまして導入しておりまして、その結果、職員の年齢構成の平準化、大きな山を再びつくらないという効果があります。一方で、委員のお話にありますように、新規採用というのは当然必要なことでございますので、組織の新陳代謝を一層進めるという意味でも、それはそれで考慮する必要があろうかと思います。
◆木村彰男 委員 話を転じて、転任の試験の方に入らせていただきます。
私がいただいている資料を見ますと、現状は、例えば、平成23年の事務職の方の受験者数が274名、うち、最終合格が12名という形で承っておりまして、転任の試験というのは非常に難しい試験なのだなと思っております。とりわけ受験者が多いのが環境局なのですね。環境局の方は現業の方が多いということで、将来にわたって委託業務にしていくということも踏まえた上で、この転任試験につきましては、例えば環境局枠といいますか、そういうようなことを考えていらっしゃるようなことはないのでしょうか。
◎谷江 職員部長 転任試験のお話でございますけれども、転任の試験でありますから、成績ということが最大限のポイントになりますので、特段、枠というようなあらかじめ決めたものはなかなか難しいというふうに考えております。
◆木村彰男 委員 もちろん、難しいということで承っております。特に、事務職に転換していくのは難しいと承っておりますけれども、それでも過去5年ぐらいを見ておりますと、4名、2名、2名、4名、5名という形で何人かは採用されていると思います。そういう意味では、ジョブトレーニングといいますか、そういうことも含めて、ご希望の方が多くいらっしゃることも事実だと思いますので、その辺についてはご考慮いただければというふうに思います。
次に、自治研修センターのジョイまちゼミナールのことでお伺いしたいと思います。
私がジョイまちゼミナールを非常におもしろいなと思ったのは、研修でございますので、普通は役所の職員の方だけがスキルアップのトレーニングをするのかなと思いきや、市民の方も一緒にかかわってやっていらっしゃるようなものになっているのですけれども、この辺の意図はどういうことでやっていらっしゃるのでしょうか。
◎蔀 自治研修センター所長 お尋ねのありましたジョイまちゼミナールですが、市民主体のまちづくり、あるいは市民との協働、こういった事業を進める上で、市の職員にとっては、さまざまな機会をとらえて市民の方と一緒に物事を考え、進めていくことが求められておりますが、いざ大きな問題が発生したときにいきなりそれをやろうと思っても、職員の側も、どうやっていいのか、皆目、見当がつかないというような声もございます。そこで、研修という名前で市民の方と一緒に事業を考え、進めていくトレーニングをしようということで、そういう意味では、市民の方に実際に入っていただくことによって、職員にとって市民の方には教師役にもなっていただく、そんな意図を持ってこの研修を企画してございます。
◆木村彰男 委員 最初に私がいただいた資料ですと、市民の方は、最初は30人の申し込みがあったようですけれども、当日の参加で20人、それに対して職員数が3人ということです。その後は、結構多くなりましたか。
◎蔀 自治研修センター所長 職員の数はその後も余りふえておりません。
ただ、研修の組み立てとしまして、全体を大きく二つに分けております。前半は、基礎編ということで、まちづくりに必要なスキル、会議の運営の仕方や問題解決の手法を6回、各回完結で単発で募集して実施しております。後半は、今年度は実際に二つほどテーマを用意しまして、3回連続物で、こちらの方は市の職員も一定数をしっかりと確保した上で、市民の方と一緒に本格的な問題解決をじっくりとやっていただこうということでございます。前半につきましては、自由参加を基本にしておりますので、まだそれほど広がっていないというのが現状でございます。
◆木村彰男 委員 基礎編が11月13日で終わり、それから実践編が始まるということで、ぜひ、実践編においては職員の方もたくさん参加していただいて、いいゼミナールになるように私も期待しております。
次に、東京事務所の件につきましてご質問させていただきます。
東京事務所の副所長とお話しする機会がございまして、いろいろお話を聞いた限りにおいては、東京事務所を経費の形で見ていくと、私が一番貢献しているなと思ったのが首都圏における市税の滞納処理でした。副所長は、多分、多くは固定資産税ではないかとおっしゃっていたのですけれども、そういう理解でよろしいのですか。(「それは財政局だ、場所が違うぞ」と呼ぶ者あり)
◎堀川 東京事務所長 科目までは私どもも承知してございません。徴収員ということで、税は税の職員で縦ラインでやっております。ただ、お話にありましたとおり、総額で約20億円ぐらいを徴収していると聞いてございます。
◆木村彰男 委員 そのほかにMICEのことを言っていらっしゃいまして、昨年については、30数件ですか、誘致に成功したとお話しされていました。市長もMICEについては非常に熱心に、もちろん札幌でもやるし、東京でもやるというスタンスだと思います。この件については、私はもっと数が多いのかなと思っていて、32件というのは多いのか、少ないのか、ちょっとわかりませんが、東京が一番ビッグなシティーでございますから、そこからお客様を誘引してくる、もしくは、学会などの学術団体も一番あるかなと思うのですけれども、この辺に対する働きかけはいかがでございましょうか。
○伊藤牧子 委員長 MICEは観光ですから所管外ですので、ほかの質問をお願いします。
◆木村彰男 委員 (続)わかりました。
そうしましたら、イベント関係の誘致といいますか、それはよろしいのですか。(「観光だ」と呼ぶ者あり)
◎堀川 東京事務所長 MICEのお話がございましたけれども、所管は観光文化局ということになってございます。ただ、私どももシティー・セールスということでかかわっておりますので、ご説明したいと思います。
まず、東京サイドでの訪問件数ですけれども、平成22年は500数件の訪問をしてございます。そのうち、実際に結びつくものということで32件でございますけれども、1万人を超える学会や全国大会等の誘致にも成功しておりますので、これについても引き続き頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。
○伊藤牧子 委員長 木村委員、所管外のことは質問しないでください。
◆木村彰男 委員 わかりました。
東京の交通会館が昭和40年に建築されて、大して新しい建物ではないかと思いますけれども、経費的に見ると一番多い事務所の賃借料が約2,600万円ということです。連絡事務ということについてはわかるのですが、いろいろなイベントの誘致であるとか滞納の処理関係ということであれば、必ずしも有楽町におる必要もないのかなと思うのですけれども、その辺についてはいかがでございますか。
◎堀川 東京事務所長 今、委員がおっしゃったとおり、平成15年にJR有楽町駅前の交通会館に移転してございます。この移転については、これまで東京事務所の業務が中央官庁との連絡業務でございましたが、これに加えまして、都市間競争が激化していることから、観光コンベンションの誘致やビジネス支援等に積極的に取り組もうということで移転したものでございます。有楽町に立地するメリットでございますけれども、ご存じのとおり、1階には、北海道どさんこプラザを初め、全国のアンテナショップが非常に集積してございまして、そこに立地する方々が当事務所に観光情報を求めて多くの方が来られているということもございます。それから、同じ館内に沖縄のコンベンションビューローあるいは日本政府観光局がございまして、そこからの早い情報提供によりましてコンベンションの誘致にも取り組んでいるところでございます。また、ご存じのとおり、大手町、銀座、新橋等の民間企業が非常に多くなってございます。そこに近接しているということで、地の利を生かした企業誘致が可能ということで、所内において打ち合わせや情報収集もさせていただいております。
加えまして、先ほどお話がありましたとおり、JR、地下鉄に近いということで、納税者の方が非常に事務所に来やすいということで、これも納税の円滑化の一因になっているのではないかというふうに考えてございます。
◆木村彰男 委員 インターネットの発達で、いろいろな情報がインターネットを通じて得られる時代にあって、私は、やはり、そこの地点に人間がいて、人間がその活動をしていくと。これはマスコミなんかもそうですけれども、支社があって、そこに取材をする記者がいるのと同じで、MICEにしても納税活動にしても、私は、ぜひ人間の力を強調してやっていただきたいというふうに思っております。
最後に、オンブズマンの問題について聞きたいと思います。
ことし、私は、初めて、オンブズマンの活動状況報告書について、会派の勉強会でも見せていただきましたけれども、大変すばらしい内容だというふうに思っております。確かに、新聞報道にもあるように、実際に是正勧告をしたのは少ないですけれども、要望という形であれ、中立的な立場で市民の方の意見を吸い取り、そして、必ずしも是正ということではありませんが、施策に生かしていくということについては、私は高く評価しています。
そこで、特に、要望の扱いについて、どの程度の実績といいますか、総括といいますか、それがあったかについてちょっとお願いいたします。
◎加賀谷 オンブズマン事務局長 市政改善、市政監視というオンブズマン制度の果たすべき役割を効果的に発揮するために、市の部局に対しまして、年に2回、フォローアップ調査を実施してございます。フォローアップ調査は、市に何らかの不備があった事案、あるいは、不備はなくともオンブズマンが何らかの要望を出したものについて行ってございます。その調査の結果、ほぼすべての案件について何らかの改善がなされ、あるいは、改善に向けての検討がなされているということを市からの回答によって確認しているところでございます。
なお、件数については、今、定かに手元に持ってございませんけれども、私の感覚を含めまして、約3割のものについては何らかの要望を出し、改善がなされているというふうに承知しております。
◆木村彰男 委員 期間的に見ると、大体1カ月ぐらいで回答されているのが非常に多いと伺っております。今、数的には年間110件程度のオンブズマン申請だと承っているのですけれども、例えば、もう少し人員がおればもっと早目に回答するというようなことは可能なのでございましょうか。
◎加賀谷 オンブズマン事務局長 オンブズマン調査におきましては、申立人からの苦情を受けまして、さらにそれを整理しまして、市からのヒアリング等々、あるいは、法令審査等々を行いますと、やはり、少なくとも1カ月程度の期間は必要かなと思っていますので、人員をふやしても必ずしも短縮にはならないかと思っております。
◆木村彰男 委員 最後に、人事同意案件について、選任のシステムをお伺いします。
この間、私は人事委員会の案件についても質問させていただきました。選任に関しては、とりわけ、この間の固定資産税評価委員は税理士の協会の方に推薦を求めて2名推薦されているというふうに承りましたが、必ずしもそういう形で推薦を受けないで、市長といいますか、職員部のサイドで人選するように承っているのもありますけれども、その辺ついては何か決めがあるのでございましょうか。
◎谷江 職員部長 議会の同意を得ます人事案件の件でありますけれども、関係団体の推薦を受けたり、私どもあるいは必要な原局の事業を行う中での情報収集ということで選任を行っておりまして、特段のルールは定まっておりません。
◆木村彰男 委員 その際、例えば、こういうような人事案件についてということで、実は、私が聞いたのは人事案件に同意する前の日に、今度はこういう人が上がってくるよと回ってくるわけですね。そして、回ってきたときに見るのは、略歴書みたいなペーパー1枚なのです。例えばですが、もっと早目にそういうことがわかれば、盛んにパブリックコメントを求めたりしていらっしゃるわけですから、市民の方からとかほかの方から、この人についてはこういう情報があるということも出てくるように思うのですけれども、もう少し早目に案件が出てくるということはないのでしょうか。
◎谷江 職員部長 人事案件の件ですけれども、議案についての判断材料については、現在、委員の略歴を添付してございます。特に、再任の場合につきましては、これまでの実績などについてどのような説明がわかりやすいかということについては今後検討してまいりたいと思いますが、時期を早めるということに関しましてはなかなか難しいかなというふうに考えております。
◆木村彰男 委員 時期を早めるのが難しいというのは、1日前でないと出せないということをおっしゃっているのですか。
◎小澤 副市長 議会における人事案件につきましては、議会運営委員会で事前に説明させていただいております。1日前ということはありません。
◆木村彰男 委員 何日前にやっていらっしゃいますか。
◎井上 総務局長 今回の人事委員会の案件につきましては、1週間前の議会運営委員会で提案してございます。
◆木村彰男 委員 それは、すべての人事案件について1週間ということでよろしいですか。
◎小澤 副市長 議会にかける人事案件については、そういう理解で結構だと思います。それから、みんなの党につきましては、金子委員がオブザーバーで出ておりますので、金子委員は承知しているはずです。
◆木村彰男 委員 今のところ、人事案件についての資料としては、このペーパーが回ってくるだけですね。これは国が違いますけれども、例えば、同意案件について本人からヒアリングをする制度もございますね。そういうものは、他市においてはないのですか。
◎小澤 副市長 私の知る限りではありません。
◆木村彰男 委員 私は、おととい、大塚教授にもお伺いいたしましたけれども、議会の中で人事案件についていろいろと問う、もしくは、プライバシーの問題も含めてお聞きするということについて、プライバシーの侵害になりますか、もしくは名誉棄損になりますかという質問をしました。それについての教授のご意見は、特にそういうことはないというご判断でございました。したがって、同意案件について、プライバシーの問題もしくは名誉棄損になるような問題はもちろん別でございますけれども、話をしたり、聞いてみたり、もしくは、どういう形でこの方をお選びになったのでしょうかということを問うとか、私はそういう機会を設けることがあってもいいのではないかというふうに思っております。
そういうような形で、同意案件については、私どもは、今後とも、議会の立場の中で、もしくは会議の中でお聞きしていきたいということを申し上げて、私の質問にかえます。
◆川田ただひさ 委員 私からは、移ったこともありますので、簡潔明瞭に、朝鮮学校に対する補助金支出についてお尋ねしたいと思っております。
私は、本年の第1回定例議会の代表質問で、補充でしたけれども、朝鮮学校に対する補助金支出について、拉致問題などの国際問題を抱えている北朝鮮当局と密接な関係にあり、または、破壊活動防止法で日本の治安への脅威として調査対象団体にも指定されている朝鮮総連と、人事などで密接な関係のある朝鮮学校についての補助金はやめるべきであるという視点で質問させていただきました。
しかしながら、回答においては、そういうことはしないということでございましたけれども、その関連で、各自治体ではやはり見直しをするという議論が活発化しているところでもございます。大阪府、東京都を初め、千葉県、宮城県、埼玉県の各県が朝鮮学校に対する補助金の凍結に踏み切っております。また、先日の産経新聞の報道では、神奈川県は、本年は補助金支出に踏み切っているわけでございますけれども、申請時に朝鮮学校で実際に使用されている教科書の内容とは別の教科書を提示して申請をしている可能性が非常に高いということで調査するという報道がございました。それを受けて、北海道庁においても、我々の同志であります自民党・道民会議の質問に答えて、11月、正式にきちんと調査をするということになっております。
私が第1回定例会で質問をしたときには、子どもの最善の利益を実現するための権利条例を持ち出して、民族、国籍を問わず支出するという回答でございました。または、事前のいろいろな説明においては、国際交流の観点で支出するというお話もありました。しかし、やはり、実際に使われている教育内容などをよくよく吟味して支出すべきではないでしょうか。反日的な教科書を使用していることによって、我々日本人に対して敵対している教育や、または、事実を捏造して教育、指導を行っているのであるとすれば、再度、やはり補助金支出を見直すべきであると考えております。
そこで、子どもの最善の利益を実現するための権利条例に基づいて補助金を支出しているのであれば、著しく、みずからの地域住民に重大な人権侵害を行っている北朝鮮当局と密接な関係のある学校自体に補助金の支出をやめることこそが、私は一番かと思っている次第であります。
まず、事実関係の確認として改めてお聞きしたいと思いますが、補助金支出の補助目的はどのようになっているのか、もう一つ、補助金支出に際してどのような審査をしているのか、再度、お伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 1点目の朝鮮学校に対する補助金支出の目的についてでありますが、札幌市としましては、民族、国籍を問わず、札幌で暮らす未来を担う子どもたちの健やかな成長を願うとともに、日朝両国民の相互理解を深め、友好、親善に寄与する人材を育成するという観点から、教材費の一部について補助を行っているものであります。
なお、朝鮮学校は、朝日両国民の親善に寄与し得る人材を育成することとの理念に沿って多くの地域交流事業を行っており、本年6月に開催されたアンニョンフェスタでは3,000人近くの市民が集まり、交流が行われております。
2点目の補助金支出の審査についてでございますけれども、審査に当たりましては、実績報告書及び収支決算書の審査をするほか、今年度からは補助対象経費に関する領収書の提出を求めるなど、今後もより厳格な審査を行っていく考えであります。また、具体的な地域交流事業につきましても実地確認するなど、内容把握をあわせて行っていきたいと考えております。
◆川田ただひさ 委員 そこで、私は、少なくとも本年3月まで朝鮮中級・高級学校で使用されていた教科書について、何点か皆様にご紹介したいと思います。
ある市民団体が翻訳したものでございまして、まずは、現代朝鮮歴史、高級学校で使われているものであります。
朝鮮戦争についてはどのように教えているかといえば、李 承晩は、1950年6月23日から38度線の共和国地帯に集中的な砲射撃を加え、6月25日には全面戦争へと拡大した、そういう形になっております。そして、敬愛する金 日成主席様におかれては、会議で朝鮮人を見くびり、やいばを向ける米国のやつらに朝鮮人の根性を見せてやらなければならないとおっしゃりながら、共和国警備隊と人民軍部隊に敵の武力侵攻を阻止し、即時、反攻撃に移るよう命令をお下しになった、こういう形であります。戦争というのはいろいろと言い分があるのかもしれませんけれども、これは、国際的には事実誤認としか言いようがございません。
次に、我々との密接な部分において、拉致問題については、同じく高級学校でございますけれども、どのように教えられているかといえば、平壌宣言発表以降、日本当局は拉致問題を話題化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気がつくり出されていったという形になっているわけでございます。拉致問題についても、みずからお認めになったにもかかわらず、こういう形で教科書になっているわけであります。
そして、中級学校においてはどのように教えられているか。これは、戦後直後といいますか、北朝鮮への帰国事業を行っていたわけでございます。共和国政府は、在日同胞をいつでも受け入れて、帰国後の生活を保障するという立場を重ねて表明し、1958年10月中旬には、帰国に必要な旅費と船舶をすべて共和国が保障するなど、帰国実現のため、措置を相次いでとったと。しかし、この帰国事業をされた方々の行く末はどうであったかというのは、今さらここで多くを語るまでもありません。
もう一つ不思議なことが、我が日本国内の学校教育法改正についてでございます。長年にわたり、教育基本法の改正というのは国民の多くの願いであったわけであります。それが改正されて、その改正に伴って学校教育法も改正されたわけでございますが、それについて、なぜか、わざわざ、総連の皆様方が国会上程に反対して総連の声明を発表するという記者会見をしているわけであります。我々の法律がどうあるべきかと問う部分について、どうして総連の皆さんがわざわざそういう形にしているのか。
挙げれば切りがないのでこれで終わりますが、こういった内容一つ一つを見てみますと、果たしてこれが国際交流であるのか、または、子どもの権利条例、私は子どもの権利条例を認める立場にはありませんけれども、百歩譲って権利条例が要るとすれば、この趣旨に合った目的であるのかどうか、非常に不思議でなりません。
そこで、少なくとも本年3月までの朝鮮中級・高級学校で使われたこの教科書の内容を見て、これでも国際交流を目的としているのかどうなのか。これが今でも使われているとすれば、先ほど3月までとおっしゃいましたから、そしてまた、これが本当に事実だとしたら、よくお調べになっていないということであれば、これは本当に国際交流にかなっていることであるのかどうなのか、再度、お伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 ただいま委員からご指摘のありました具体的な教科の内容につきましては、監督権限のある道が、学校を訪問の上、授業内容を確認する予定と聞いております。
朝鮮学校への補助金支出につきましては、あくまでも、民族、国籍を問わず、札幌で暮らす未来を担う子どもたちの健やかな成長を願うとともに、日朝両国民の相互理解、そして友好、親善に寄与する人材育成という観点から補助金を支出しているものであります。
◆川田ただひさ 委員 最後でございます。
俗に言う子どもの権利条例、先ほど言いました子どもの最善の利益を実現するための権利条例ですが、この制定時に私として非常に思い出にあるのは、まだ議員ではございませんでしたけれども、反対の立場から文教委員会において陳情をさせていただきました。その内容については、やはり、この権利条例の中身には国籍条項があると。この国籍条項を見たときに、果たして、日本国と、または当事国といろいろな面で対立しているときに一体どうなるのだという内容の質問で、反対の立場から陳情したわけであります。当時は、そういうようなことはありませんからという話でした。2回目に陳情を上げたときに、賛成の側から出られた方として朝鮮学校を支える会という方が出られたわけでございます。果たして日本の子どもたちをどうするかに当たってなぜこの方々がということを考えますと、俗に言うこの権利条例の趣旨の最後の目的は、やはりそこにあったかと私は疑わざるを得ないような形になるかと思います。
改めて、本当の意味で、朝鮮の子どもたちのためを思うのであれば、私は、先ほども言いましたけれども、いろいろな意味で、朝鮮総連であり、また朝鮮学校も拉致事件とかかわっている疑いが非常に強いわけであります。そういったところに、直接、補助金を渡すのではなくて、やはり個人としての交流事業、私はこれがいいのではないかと思います。こういった部分で、彼らがそこにいるよりも、日本人として、例えば国籍をとりたいというのであれば、私は、そういった支援は一向に構わないと思います。交流事業と言うのであれば、そういった部分にこそもっとお金をつけてやるべきでございます。
そして、私は、拉致問題、北朝鮮に拉致をされた日本人を救う会の活動を10年来ずっとやってまいりました。こういった活動を、いろいろと紆余曲折がありながら、本当に、小泉元首相が訪朝する前は、あの北朝鮮がそんなことをするはずがない、地上の楽園、夢の楽園ですばらしい国だと言った方がたくさんいたということであります。そういった中で、あの拉致被害者家族の人たちもいろいろな誹謗中傷を受けながら今に至って活動していることを考えると、札幌市としても、被害者や、また被害として非常に疑わしい方があるわけでありますので、今後は、やはり、そういった拉致問題について憂慮している日本人の立場を認識しながら、この業務については当たってほしいと要望いたしまして、質問を終わります。
◆村上ゆうこ 委員 私は、職員のライフプラン事業の現状についてと職員のメンタルヘルス対策について質問いたします。
平成23年の厚生労働省の統計発表によりますと、女性の平均寿命は86.39歳、男性の平均寿命は79.64歳となっております。このような長い人生を有意義なものとするためには、それぞれの人に応じた、また、それぞれの年齢に応じた自分なりの生きがいを持つことが非常に重要なことであると言われています。そして、それをしっかりと支えるためには、経済的な面と健康や体力の面、つまり、家庭、経済と健康づくりを充実させることが必要であるとも言われております。
このような有意義な人生を送ることができることを目的として、想定される生涯にわたって充実した生活を送るための人生設計は、一般にライフプランと呼ばれておりますが、近年、このライフプランが注目されるようになっております。このようなライフプランが注目されるようになった背景には、先ほど話しましたような平均寿命の伸びや少子高齢化に伴って生じている社会保障制度の変化、また、人それぞれの価値観の変化やライフスタイルの多様化など社会環境の変化が大きくかかわっていると考えられます。近年、世界的にも大きな経済的な変化や政治的な変化が急激に生じており、生活不安が一層広がる中で、民間企業では、ライフプラン事業の対象者の範囲についても、定年退職を間近に控えた世代のみではなく、中高年齢向けや30歳代、40歳代向け、あるいは新人社員向けなど多様化していると聞いております。
そこで、質問です。
ライフプランは、みずからの人生設計を描くことで将来の漠然とした不安を取り除くものであり、その事業の推進は、職員がその能力を十分に発揮し、安心、安定して公務に専念できる環境を確保することにつながるものと考えますが、本市では、職員に対しましてどのようなライフプラン事業を実施しているのか、お伺いいたします。
◎谷江 職員部長 ライフプラン事業についてでございます。
ライフプランの内容につきましては、委員からお話のあったとおりでありまして、これにつきましては、各職員が主体性を持って取り組んでいくことが重要であると考えております。札幌市では、職員みずからの課題解決に向けた自助努力を支援するために、ライフプランセミナーの開催、ライフプランガイドブックの配付、ファイナンシャルプランナーによる無料個別相談などを実施してきております。
ライフプランセミナーにつきましては、平成元年から、58歳の職員を対象とした退職準備セミナーを開催してきておりましたが、その後、社会環境の変化によりまして、もっと早くからの対応が求められるようになってきたことから、対象年齢を徐々に拡大いたしまして、現在は50歳、40歳、30歳に対しても開催しているところであります。このセミナーの内容につきましては、各ライフステージに応じて、共済年金や退職手当、生命保険、住宅ローン、資産運用などのマネープランのほかに、生きがいや健康管理、地域社会活動、介護問題などさまざまなテーマを設定いたしまして、ライフプランの確立に必要な情報や機会を提供しているところでございます。
◆村上ゆうこ 委員 各ライフステージに応じてセミナーを開催しているということですが、2010年3月発表の地方公務員等ライフプラン協会のアンケート調査によりますと、老後の生活資金や年金額の減少などを理由として、8割を超える職員の方が定年退職後の生活に不安を感じているとのことであります。また、公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて、定年を段階的に65歳まで引き上げることについて議論されておりますが、そうした中で、今後、60歳以降の健康づくりや働き方などは非常に重要な課題となってまいります。
また、現在、ワーク・ライフ・バランスの考え方、これは、市民一人一人がやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択、実現できる社会という考え方の必要性が言われております。このワーク・ライフ・バランスやメンタルヘルスについては、個人レベルの問題としてとらえがちになりやすいと思われますけれども、そうではなく、組織力としての向上の面からもとらえて、若い世代のうちから組織の問題として積極的に取り組んでいくことが求められるものと考えます。
そこで、質問です。
ライフプランは、シニアサービスやメンタルヘルス対策、ワーク・ライフ・バランスの観点からも有効であると考えますが、今後どのような取り組みを考えているのか、お伺いいたします。
◎谷江 職員部長 ただいま委員からお話がありましたように、先般、人事院から国家公務員の定年延長に関する意見の申し出が出されております。今後、高齢職員の能力を活用しながら公務能率を維持するためには、キャリアプランやメンタルヘルスを含めた健康管理などの面においてもライフプランの役割は一層高まってくるものと認識しているところであります。
また、お話にありましたワーク・ライフ・バランスにつきましては、仕事と生活の調和を目指すということでございます。結婚や子育て、介護など、長期的なライフステージに合わせながらバランスをとることが大切と考えられておりまして、このワーク・ライフ・バランスを考える上におきましても、若い年代からライフプランに取り組むことが重要になってきているというふうに認識しております。
このような状況を踏まえまして、今後は、ライフプランセミナーの対象年齢をさらに拡大いたしまして、60歳以降や20歳代の職員に対するセミナーの開催についても検討していきたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 在職中の職員の方に対しましてライフプラン事業などを実施することにより、公務に専念できる環境を確保するために努力することは当然でありますけれども、退職後、地域社会におきまして札幌市職員としてのこれまでの知識や経験を生かしていくことができるようにすることは、本人の生きがいの充実に資するのみではなく、地域社会の活力を維持していく上においても重要なことでありますので、今後も引き続きライフプラン事業を積極的に実施していくことを求めまして、ライフプランに関する質問を終わります。
続きまして、職員のメンタルヘルス対策について質問いたします。
地方公務員安全衛生推進協会が昨年度行いました調査は、都道府県を初め、342の地方公共団体が対象とのことですが、それによりますと、心の病により30日以上休務している地方公務員の数は、2000年から2009年の過去10年間で3倍以上、人数では2,968人から9,247人に増加しているとの結果が報告されており、地方公務員のメンタルヘルスの状況は深刻化しております。
札幌市においては、30日以上休務している職員数は、先ほどの同期間で2倍余り、79人から164人にふえております。職員の方たちは、本市にとりまして貴重な財産です。この職員の方たちの中で休務・休職に入るということは、本市にとりましても、本人にとってもとても残念なことであります。メンタルヘルス対応を札幌市が従前より行っていることは私も承知しておりますが、職員が心の病で悩んだり苦しんだりしないようにするための予防策について、他都市に先駆けて迅速な対応ということで、平成18年度から専門スタッフを配置しております。その結果、平成19年度をピークに20年度、21年度と長期休務者が減少してきていると聞いております。
そこで、質問です。
2010年度の心の病による休務・休職者はどのような状況なのか、また、現在の専門スタッフ体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。
◎谷江 職員部長 平成22年度の休務・休職者の状況でございます。
22年度に30日以上連続して心の病によりまして休務した者は161人となっておりまして、前年度の21年度と比較いたしますと3人の減少となってございます。また、休職者の数ですが、こちらは122人から117人と5人減少しております。
次に、専門スタッフの体制であります。
お話がありましたとおり、平成18年度に精神科療法士1名、保健師1名の2名体制でスタートしております。翌19年度には、専任の精神科産業医1名を配置、さらに、22年度には精神科療法士1名を増員いたしまして、現在、4名体制でメンタルヘルス不調者の早期発見から復職後のケア対応に努めているところでございます。
◆村上ゆうこ 委員 2010年度も、わずかではありますが、休務・休職者は前年より減少しているとのことです。全国的に増加している状況下では、本市としてもさまざまな取り組みが功を奏していると思いますが、これまでの支援の取り組み内容についてもお伺いいたします。
◎谷江 職員部長 これまでのメンタルヘルス対策の取り組みでございます。
札幌市では、平成18年2月に札幌市職員の心の健康づくりのための指針を策定いたしまして、この指針に基づきましてメンタルヘルスケアに取り組んでおります。メンタルヘルスケアでは、心の病にかからないようにするための1次予防、心の病の初期症状をいち早く発見、治療する2次予防、そして、療養していた職員が順調に復職できるようにする3次予防の3段階というふうに分類してございます。具体的に申し上げますと、1次予防の対策といたしましては、管理監督者や各職場での職員個人に対する研修の実施、あるいは、庁内イントラや広報誌によるメンタルヘルスに関する知識の普及啓発を行っております。2次予防の対策といたしましては、健康相談室及び職場の悩みごと相談室の二つの窓口を開設いたしまして、不安や悩みを抱える職員が1人で悩まずに相談できるサポート体制を確立してきております。また、本人が気のつかない心のSOSを家族がいち早く気づきまして、早期解決につながるように、平成22年度からは、毎月の給与振り込み通知書の裏面を活用いたしまして、家族に対するメンタルヘルスの意識啓発や相談窓口の周知を行っております。最後に、3次予防の対策では、長期休務していた職員がスムーズに職場復帰できるように、専門スタッフが本人、所属長との面談や職場訪問等の支援をするとともに、再発防止を図るため、職場訓練を行う、いわゆる職場リハビリテーションを実施しております。
このように、専門スタッフが各段階に応じた対策に取り組んできた結果、わずかではありますが、平成22年度以降、心の病による休務者数が減少に転じたものと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 メンタルヘルス相談窓口における相談体制や新規採用職員の個別面談などのメンタルヘルス予防対策が行われていることで、少しずつ成果としてあらわれていることがわかりました。市民ニーズが複雑かつ多様化していく中で、職員に求められる資質や責任の度合いがますます高まってきており、職員が抱えるストレスなどが心の病に移行する危険性も大きくなってきていると思います。
そこで、質問ですが、心の病に至る前に早期発見や解決をするために、ますます相談体制や研修の充実が必要になっていくと考えますけれども、その点をどう考えるか。
また、休務・休職者数は減ってきているとはいうものの、依然として161人もの多数に上っております。職員の心の病は、長時間労働などの影響もあると思われますけれども、職場環境ばかりでなく、家庭環境や本人の健康状態など幾つもの問題がふくそうしていることが多く、画一的な対応・対策では困難であることから、それぞれお一人お一人に合った対応を地道に根気よく積み重ねていかなければならない、そういう中で、ある程度の年数を経過した中での評価が必要だと思われます。
そういった意味では、質問ですが、専門スタッフを配置してから今までの支援策の検証が必要であると思いますがいかがか、お伺いいたします。
◎谷江 職員部長 早期発見等についてでありますが、メンタルヘルスの不調につきましては、職員のみならず、その家族、職員に与える影響が非常に大きく、心の病に対する予防対策がとても重要であるというふうに考えております。メンタルヘルスケアが有効に実施されるためには、委員ご指摘のとおり、メンタルヘルスに関する知識の普及、自発的な相談を促す環境整備など相談体制等の充実が必要であると認識しており、今後とも検討してまいりたいと思います。
次に、専門スタッフ配置以降、今までの支援策の検証についてでありますが、この5年間、専門スタッフを増員、強化することによりまして、メンタルヘルス不調等の初期段階から休務・休職を経まして職場復帰後に至るまでのすべての段階における支援を継続的に実施することができております。こういったことで、専門スタッフの必要性が職員や職場に広く認知されてきたものと判断しております。
しかし、お話がありましたとおり、依然として相当数の職員がまだ休務している状況にあります。メンタルヘルス対策の充実が一層求められておりますことから、今までの支援策の検証も含めまして、充実策について検討してまいりたい、このように考えております。
◆村上ゆうこ 委員 ぜひ、検証結果を生かしまして、心の病の専門スタッフのさらなる充実、相談体制もきっちりやっていただきまして、職員が生き生きと市民のために働けるように体制を整えていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
◆國安政典 委員 私からは、基幹系情報システム再構築事業について質問させていただきたいと思います。
本事業は、現在、本市の基幹系システムとして稼働しております汎用機が約20年経過し、老朽化が進行する中、情報の多様化やさらなるスピード化が求められ、その中で処理能力の限界もあり、その対応策として、時代のニーズに的確に適応できる基幹系システムの再構築事業であるというふうに認識しているところでございます。